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Tohazugatali Tourist Bureau
3923
:
とはずがたり
:2017/06/12(月) 09:23:40
大阪出張をするビジネスマンにとってインバウンド需要は敵か味方か
http://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20170609/Jprime_9799.html
週刊女性PRIME 2017年6月9日 07時00分 (2017年6月10日 06時13分 更新)
大阪に出張するビジネスマンには、厳しい状況が続いている。
まず、ホテルが非常に取りにくい。
統計を見ても、大阪府のビジネスホテルの稼働率は2015年、2016年と連続で85%を超えており、東京都を超えて全国一位である。この現象は近年になってからで、2011年には70%を下回る稼働率しかなかった。筆者の実感としても、高校野球のシーズン、秋の行楽シーズン(京都に観光客が押し寄せるシーズン)などを除けば、大阪のホテルは空いているという印象が強かった。
ホテルの相場も大幅に上昇した。
筆者が利用していたホテルは、以前は5,000円程度の室料だったが、最近は10,000円を超える日が珍しくない。改装をしたわけでもなく、サービス内容が変わったわけでもなく、値段だけが上がったのだ。満室が続けば、どのホテルも価格設定が強気になる。
これほどまでにホテル事情が変わったのは、明らかに訪日外国人の急増が原因である。この5年間で、外国人の宿泊者数は全国平均で3.9倍、大阪府で4.3倍になった。宿泊者のうち外国人が占める割合は、2016年は全国平均で14.3%、大阪府は32.6%だった。つまり、大阪府では宿泊者の3人に1人は外国人なのだ。
筆者が泊まるいくつかのホテルでも、外国人旅行者は多く、それどころか、外国人の団体客を呼び込んでいるところでは、日本人が圧倒的に少ないことがある。朝食会場では韓国語などの外国語で賑やかとなり、日本人は肩身の狭い思いをする。…
「肩身が狭いと言うのならば、別のホテルに泊まればいいだろう」と言われそうだが、混雑する時期は選択の余地もない。実際、多くのビジネスマンたちが「神戸などの遠方に泊まるよりはマシ」と、我慢をして宿泊しているのだ。
一方、ホテルだけでなく、この状況は鉄道会社にとっても追い風である。
関西国際空港に乗り入れている南海電鉄では、空港線の旅客運輸収入がこの5年間で1.8倍にもなった。南海電鉄の旅客運輸収入は2011年までは下降の一途だったが、空港線の躍進とともに息を吹き返したのだ。
南海電鉄は、大手私鉄にしては運輸業への依存度が高く、営業利益ベースで50%を占める。運輸業の内訳は、大雑把に言えば、1/4がバス事業、残りが鉄道事業だが、バス事業では空港リムジンバス、鉄道事業では空港線が成長を牽引している。南海電鉄にとって、インバウンドの取り込みは最重要テーマである。
一方で、財務基盤が強固ではないため、強気の投資ができるわけでもない。訪日外国人客の輸送を担っているものの、ホテルは不動産賃貸として供給するだけで、自らのホテル事業を本格化させる計画はない。
2016年には約2400万人の外国人旅行者が日本を訪れたが、政府はこれを2020年に4000万人にする計画である。大いに期待できるインバウンドだが、どこまで期待していいのか。南海電鉄だけでなく、関係する企業にとっては悩ましいところだ。
日本のビジネスマンは大阪のホテル事情に泣かされ続けているが、ここは耐えるしかない。地盤沈下と言われていた大阪が、インバウンドで潤ってきているのだ。
願わくは、政府の計画どおりにインバウンドが拡大し、強気に転じる企業が増えて、ホテルの新築・改築が進んで欲しいものである。
新しい客室が適正な価格で提供されるようになれば、ようやく出張族もインバウンドの恩恵を受けられるのだ。
文/佐藤充(さとう・みつる):大手鉄道会社の元社員。現在は、ビジネスマンとして鉄道を利用する立場である。鉄道ライターとして幅広く活動しており、著書に『鉄道業界のウラ話』『鉄道の裏面史』がある。また、自身のサイト『鉄道業界の舞台裏』も運営している。
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