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法学論集
52
:
とはずがたり
:2005/06/10(金) 12:13:17
贖罪教育:14歳未満の子供も対象に 厚労省検討
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050610k0000m040162000c.html
殺人などの重大な非行(事件)を起こして児童自立支援施設にいる14歳未満の子供に対し、厚生労働省は被害者への贖罪(しょくざい)教育を実施する方向で検討を始めた。被害者や遺族の強い要望もあり、すでに実施している少年院の贖罪教育プログラムを参考に、年内にも骨格を固める。しかし、同施設は児童福祉法に基づき、家庭的な環境で子供の立ち直りを図ることを目的としている。14歳未満の子供を「罪」と向き合わせることには疑問の声も根強く、論議を呼びそうだ。
法務省矯正局によると、14歳以上の少年を収容する少年院では、00年度から贖罪教育を本格的に導入した。作文や面接などを通じて被害者の視点から自分の起こした事件を見つめ直させるほか、院によっては被害者を招いて話し合う機会を設けている。非行の程度や内容、少年の状態に合わせてプログラムを作り、個別指導と集団指導を織り交ぜている。
少年犯罪の被害者を講演に招いた西日本の少年院では、落ち着きのない子が話に聴き入ったり、謝罪を真剣に考え始めるなど、更生に効果を上げているという。
贖罪教育は米国の矯正施設で比較的軽微な事件で始められた。生命尊重の大切さを教えたうえで、カウンセリングなどの心理療法を行い、被害者の手記やビデオを見せる。被害者について知り、思いをはせ、自分を見つめ直すことで、自分と他者との関係の認識を深めるようになる。被害者の命日の供養など社会的な謝罪行動をとることで、責任の取り方を具体的に考えるきっかけになるという。
03年の長崎市の男児誘拐殺害事件や昨年の長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件を受け、厚労省も贖罪教育に着目。少年法改正に向けて4月から始まった少年院と児童自立支援施設の職員の勉強会などで導入の是非を検討している。
一方、児童自立支援施設は、家庭的に恵まれない子供を福祉の観点から保護することで、立ち直りのきっかけを与えるのが目的だ。厚労省家庭福祉課は「これまでの手法と調和するか、有効に機能するか慎重に論議したい。子供たちにはさまざまなタイプがあり、一人ひとりの子に合ったやり方を考える必要もある」と話す。[青島顕、川名壮志]
◇自分と向き合い”再非行”の防止に
▽少年院の贖罪教育に参加した西鉄高速バス乗っ取り事件の被害者、山口由美子さん(55)の話 難しい問題だが、可能ではないか。14歳未満の子でも、自分と向き合って反省してほしいし、向き合うことで再び非行を起こす機会は減るのではないか。少年院で私の経験に真剣に耳を傾けてくれる子もいる。自分の非行と向き合うよい機会になっていると思う。
◇児童福祉法の理念と合わない
▽東京都内の児童自立支援施設に26年間勤務する前田信一さん(56)の話 児童自立支援施設は安定した生活をしながら子どもの成長を見守るところで、贖罪教育は児童福祉法の理念とも合わないと思う。社会的に議論も十分できていない。14歳未満の子に罪や罰を考えさせるのは難しいし、贖罪教育ですべてが解決するとは思わない。
【児童自立支援施設】非行を起こしたり、親の育児能力に欠ける18歳未満の子供を収容する。以前は教護院と言われた。福祉の観点から「育て直す」ことを目指し、寮生活を通じて、生活や学科指導、農作業やスポーツなどの指導をする。矯正や更生を目的とする法務省管轄の少年院とは指導方針が異なる。14歳未満でも収容出来る点も少年院とは違う。全国に58カ所あり、入所期間は長くて2年前後。
毎日新聞 2005年6月10日 3時00分
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