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不動産・土木・建設・土地建物等綜合スレ

2417とはずがたり:2023/12/06(水) 11:15:25
>>2416
「暗がりをなくしたい」日本独自の住み手の意識

ただし、日本の多灯分散式は欧米のそれとはずいぶん趣きが異なる。

本来、多灯分散式を貫くコンセプトは、「必要な場所に必要なあかりを」という適材適所の考え方だ。ダイニングテーブルの上にペンダントライト、ソファの横にフロアスタンド、というように居場所とあかりが1対1の関係で対応する。そのおかげで、夜の室内には適度な陰影や色味の変化が生み出されて空間に奥行きが生まれる。

ところが日本の多灯分散式は、「暗がりをなくしたい」という住み手の意識に強く引っぱられる。照明を複数箇所に設けてはいるものの、それぞれが十分すぎるほど明るいため、結局すみずみまで明るくなる。実質は一室一灯式とほぼ同じなのだ。陰影や色味による奥行きが生まれるわけもなく、夜の室内には薄っぺらい印象だけが残る。

それだけならまだしも、下手に多灯分散式を採用したことで、一室一灯式よりもあかりが騒々しくなっている家もある。たまに目にするのが、リビングの天井に埋め込んだダウンライトの数が多すぎてガチャガチャとうっとうしい家だ。建築家は天井面がフラットになるダウンライトをことのほか好むが、その数が多すぎるのも考えものである。

また、ダウンライトの配置はよかったのだが、明るさを調節する「調光器」がデザイナーの意図を骨抜きにしたという失敗談もよく聞く。ダウンライトはその構造上、シーリングライトに比べて一灯あたりの照射範囲が狭い。光が届かない隅のほうは部分的に暗がりができる。

その暗がりに耐えきれず、昔ながらの均一なあかりに慣れている住み手は調光器のダイヤルを明るくなるほうへ回す(暗がりは消えないのだが)。気づけば夜のリビングは、ナイトゲームを開催中の野球場のように煌々としている。

以前、年間受注棟数30戸ほどの地場工務店の社長にこんなことを聞いた。

「照明をセンスよく見せるために、たとえばソファの横にフロアスタンドを置いて、天井には照明を一切つけない、みたいな欧米風を意識した照明を提案をすることはないですか?」

社長はフッと鼻で笑い、諭すような口調で言った。

「そんな提案、するだけ無駄ですよ。まず照明というのは部屋を明るくしないとだめなんです。とくにお年寄りのいるご家庭は暗いのが苦手ですから、なるべく明るめに設定するのが基本です。フロアスタンドなんて、場所を取るだけでたいして明るくもないでしょう。

嫌がられるに決まっています。もし、お施主さんのほうからフロアスタンドを置きたいと言われたら、『邪魔になるだけだから、やめたほうがいいですよ』とこちらから止めるでしょうね」

日本の夜が明るい納得の理由

生物学的な観点からいえば、日本の夜が明るくなるのは至極当然のことかもしれない。

ご存じの人も多いだろうが、同じホモサピエンスでも明るさの感じ方は虹彩に含まれる色素の量でずいぶん違うといわれる。

東アジア特有の強烈な日差しに適応してきた私たちは、色素の量が増加して夏場でもサングラスなしで平気な目に進化した。その代わり、日が暮れるとあたりが急に暗く感じられる。

一方、色素の量が少ない欧米人は明るい場所にめっぽう弱い。知り合いのフランス人(碧眼)の話では、日本の夜は明るいを通り越して「まぶしい」という。夜、日本人家族の家に遊びにいって長居をしていると、まぶしすぎる照明のせいでだんだん気が立ってくるそうだ。

彼らが好む照明は、欧米の映画やドラマを見るとよく分かる。テーブルランプやフロアスタンドなどを、あかりがほしいところにだけ無造作に置いている。天井面に照明のない部屋も珍しくない。照明器具のデザインはどれも個性的で、インテリアデザインの重要なアクセントになっている。

なんともかっこいい。そのままインテリアのお手本として取り入れたいところだが、やはりその「暗さ」だけはいかんともしがたい。そのまま導入すれば、日常生活がおぼつかなくなるのは目に見えている。

照明ならではの抜け道

欧米ほど暗くはない。

しかし、ただ明るいだけでもない。

日本の多灯分散式は、そのあたりのちょうどよい落としどころを探る必要がある。同時に、昔ながらの均一なあかりに慣れた住み手を十分納得させる必要もある。

(以下無理矢理顧客の要望を無視して暗さに慣れさせる話しがあって表題はここに繋がるようだが省略)


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