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不動産・土木・建設・土地建物等綜合スレ

1925とはずがたり:2017/12/09(土) 19:24:00

●郊外から中心部に住居移転が進む?

 ここまで書いてきて、ホームセンターのことはさておき、こうした住宅環境の変化が、街にどんな影響を及ぼすのだろうか、そっちのほうが気になった。

 人口減少、高齢化が進んでいる地方都市では、これから郊外住宅地が徐々に縮小に向かう。人口減少は中心部の地価を下げるため、住宅取得費用や家賃も下がることになり、住宅の中心回帰が可能になる。これまでの郊外住宅と同等のコストで中心部に住宅が確保できる環境になれば、一般論としてはにぎやかな中心部を選択するからだ。

 加えて、高齢化の進行でクルマの運転免許の維持ができなくなった郊外居住の高齢者の中には、徒歩で日々の買物ができる中心部へ移動する人が増えてくるだろう。このケースは、介護施設やサービス付き高齢者住宅への転居も含まれ、多くの高齢者が集合住宅への移転となると思われる。

 結果として、これからは地方都市においても、郊外の戸建て居住割合が徐々に下がり、中心部の集合住宅と周辺の戸建て住宅地への集約が進んでいくことになるだろう。こうした動きが顕著になるのは、そんなに先のことではなく、人口の大きな塊である団塊世代が全員、後期高齢者になる2025年が1つの目安となるだろう。

 高齢者が集合住宅に移転すると考える要因は、モビリティや買物の利便性だけではない。まず前提とすべきは、後期高齢者世帯の多くは女性単身世帯であるということだ。戸建て住宅のメンテナンスは、こうした方々にとって苦痛を伴うものだからだ。北海道札幌市はサービス付き高齢者住宅の建設が多い都市であるらしいが、現地の業者の方に理由を聞くと、冬期の雪下ろしが高齢者にとって大きな負担となっているため、戸建てに住むことを断念する人が多いからだという。こうした事情を考えると、高齢者の中心部回帰は、北国、雪深い地域において先行して進むことになるかもしれない。

そこまで切実ではないにせよ、単身高齢者(多くの場合、女性)にとって、戸建て住宅での生活維持は結構大変なことなのだ。マンション暮らしでは気付かないが、ゴミ出しにしてもさまざまな制約があり、分別ごとに週1回しか出せないため(かつ、時間制約もある)、それまでの保管や持ち出し、ゴミ置き場の掃除なども高齢者にとってはかなり負担だ。

 また、戸建ての本来のメリットである庭自体が、大きな悩みのタネで、庭の草木の手入れや外壁などの修復をどうするかといったことが、想像以上に心理的な負担となるようである。草刈り、剪定(せんてい)、家の修復の担当者である夫が亡くなると、どうしていいか分からないという女性は実際多いのだ。

●空家の利活用

 こうした事情を考えると、広域化、希薄化している地方都市の住宅地は、ゆっくりとコンパクトシティの方向に進んでいるのかもしれない。ただ、その間の悩みは空き家問題への対応ということになるだろう。

 世代交代が進んでいく中で、中心部、郊外を問わず、単身世帯の跡地たる空き家が大量発生する、というのはよく聞く話だ。空き家の処理は周辺住民や相続人にとって重たい問題だ。放置すれば老朽化による危険性や治安の低下につながりかねないが、解体や処分をするにも費用がかかる。特に、故郷から離れて居住している相続人などの場合、要する手間と時間もバカにならない。関係者にとっては頭の痛い問題である。

 だが、都市再構築の観点からすれば、空き家処理の政策的誘導によって、市街地の再構築を行う好機と捉えることもできる。コンパクトシティの範囲内の空き家に対しては再使用、再構築する、外側の空き家は転用、解体の方向へと誘導していけば、少しずつではあるが希薄化した街が効率的な構造に戻せる可能性もある。これからの地方の住宅政策は、こうした空き家のマッチングを、政策に沿って街を再構築していくための前向きなツールとして活用すべきだと思う。

 先日、かつて赴任していたことがある和歌山市を訪れる機会があり、街中、郊外と回ってみた。この町は人口約36万人の県都で、決して小さな町ではないのだが、典型的な希薄化都市となっており、町の中心がどこかが分からない。JR和歌山駅、南海電鉄和歌山市駅、商店街地区といった昔の中心がすべて1〜2キロメートル離れて存在しており、各々がかなり寂しい感じになっている。


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