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不動産・土木・建設・土地建物等綜合スレ

1672とはずがたり:2016/06/22(水) 12:21:40
そんな事情を県が国に説得し、政府がとった対策が改正復興特区法だ。
2014年5月に公布・施行された改正復興特区法では、行政による土地収用(強制的な土地の買い上げ)の手続きが特例によって大幅に簡素化された。具体的には、調査対象となる所有者が遠方であれば、従来は必須だった対面での確認を求めないこととなった。登記簿などの公的書類で一定の調査を行えば、所有者が不明のままでも土地収用の手続きができるようにもなった。また、従来は収用対象外だった50戸未満の小規模団地整備でも、土地収用が可能となった。

冒頭に記した、所有者がわからなかった斜面の土地は、そうして国・県の職員の実務支援も受けながら、改正復興特区法の特例によって収用することができた。それでも、けっして作業が楽だったわけではなく、収用できたのは稀なケースだと太田氏は言う。

「地権者の合意形成にコストと時間がかかりすぎて、取得を断念した土地は何カ所もあります。この問題は大槌町に限りません。東日本大震災で被災した自治体はどこでも同様の土地問題が起きています」
太田氏の指摘のとおり、土地問題に悩む被災自治体があった。

福島第一原発を抱える福島県大熊町である。

建設予定地の地権者2365人。うち890人が行方知れず
その一帯に立ち入るのに、防護服は欠かせなかった。
除染廃棄物を集約する「中間貯蔵施設」の建設が予定されている、福島県大熊町の一帯は、帰還困難区域に指定され、立ち入り禁止となっていた。同町夫沢地区の小高い丘で、同町環境対策課の吉岡文弘課長が周囲一帯を解説する。
「国道6号から東側のほぼすべてが中間貯蔵施設の建設予定地です。このあたりは田畑と山林が主で、明治の頃に村落の共有地として登記され、当時の住民の共有名義のままになっている土地が多い。連絡が取れない地権者が多いのは、そういう事情もあると思います」

中間貯蔵施設が予定されているのは双葉町と大熊町にまたがる、原発をぐるりと囲む約16平方キロメートルの用地だ。福島県内の約11万5000カ所に仮置きされている除染廃棄物を搬入し、最長30年にわたり保管する計画で、国からの要請を受け、大熊町は2014年12月、施設建設の受け入れを表明した。
だが、ここでも土地の問題がまもなく表面化した。地権者との用地買収交渉が進まず、2016年5月時点でも建設の見通しが立っていないのだ。

用地交渉を担当する環境省によれば、建設予定地の地権者は2365人。だが、2016年4月末時点で売買契約に至った地権者はわずか113人。面積換算で全体の2.2%にすぎない。

用地取得が進まない大きな理由は、環境省が補償額の算定に手間取り、補償額を提示できない状態が続いていることだが、もう一つ進捗を阻害しているのが「所有者不明の土地」問題だった。
現在までに連絡が取れていない地権者の数はおよそ890人。明治時代から登記が更新されていない多数のケースでは、地権者の大半は他界しているとみられる。環境省は双葉・大熊両町の協力のもと、戸籍などから不明地権者の親族の洗い出しを進めているが、相続人の特定作業に膨大な時間とコストがかかっている。大槌町と同じ状況だが、大熊町の土地は原発事故の補償にも絡むため、土地収用の方向には進んでいない。

町有地から「なし崩し」にされるのか
取材に同行した大熊町の阿部光國町議は移動中の車内にあった地方紙を指差した。
「一面に、大きく『町有地提供を要請』って書いてあるでしょう」。
紙面は、福島県内の小・中・高校など1086カ所に仮置きされている計33万立方メートルもの除染廃棄物の早期搬入につなげるため、中間貯蔵施設予定地内にある町有地を提供するよう、自民党県連らが双葉・大熊両町に要請したというニュースを報じていた。
「土地の権利移転がうまく進んでいないから、町有地を出せというわけです。『福島県内の子どもたちの健康や安全のため』と言われたら、除染廃棄物を受け入れる大熊町としては断れないでしょう」
町有地の提供でまとまった土地が確保できれば、そこから施設の建設に着手できるという理由だが、町有地の提供のあと、なし崩しに私有地も利用されてしまうのではないかと、予定地の地権者を中心に多くの大熊町民が不安を抱いているという。

大熊町では、比較的放射線量が低い大川原地区を復興拠点として、役場機能の一部を移転、2016年4月から職員4名が業務についている。

町の再興は今後、除染の完了したこの大川原地区を中心に進められるという。一方で、復興の一環である中間貯蔵施設の建設は、土地の取得が進むかどうかにかかっている。それは簡単に見通せないと阿部町議は言う。
「中間貯蔵施設の受け入れは、大熊町民にとって苦渋の選択ですが、進めようにも890人も行方知れずの地権者がいる。こんなことで本当に着工できるのか……」


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