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Tohazugatali Medical Review

7406OS5:2023/05/08(月) 20:56:33
https://www.tokyo-np.co.jp/article/247103
「病床使用率」は低いのに医療逼迫が起きていた理由 小池百合子都知事の発信とは裏腹に実態見えない指標に
2023年4月30日 06時00分
連載<コロナ禍の教訓>①医療逼迫
◆「240床」突然言われたコロナ病床確保 都立豊島病院
新型コロナのピーク期には、コロナ患者用に転用した精神科の病室=東京都板橋区の都立豊島病院(木口慎子撮影)
新型コロナのピーク期には、コロナ患者用に転用した精神科の病室=東京都板橋区の都立豊島病院(木口慎子撮影)

 東京都立豊島病院(板橋区)の新型コロナウイルス病棟は、ひっそりと静まり返っていた。4月下旬の昼すぎ、入院患者は8人。大半が軽症の高齢者だ。廊下に残る防護服の着脱エリア「イエローゾーン」を示すテープの跡がかつての喧騒けんそうを物語る。
2020年春、防護服を着て新型コロナ患者に対応する看護師たち(一部画像処理)=都立豊島病院提供
2020年春、防護服を着て新型コロナ患者に対応する看護師たち(一部画像処理)=都立豊島病院提供

 感染者のピークは東京五輪・パラリンピックが開催された2021年夏、重症化率が高いデルタ株がもたらした第5波だった。「五輪は見てもいなかった」と安藤昌之院長は振り返る。記憶に残るのは、フル稼働の人工呼吸器をつなぐ緑色のホース、血栓症を防ぐため絶えず患者の足をマッサージする看護師の手、心電図や動脈圧のモニター類…。「あの恐ろしさ。いつ軽症者が重症になるか。しっかり見ていないと、人が亡くなった」。緊迫感にさいなまれた当時は「あまり思い出したくない」。
 周産期と精神科医療の中核病院には、妊産婦や精神を患う感染者も多く入院し、今年3月末までに約4400人のコロナ患者を受け入れた。1日最大のコロナ入院者数は第5波の185人。「日本で一番多かった。これ以上できるかよって状態」だった。
新型コロナへの対応について語る都立豊島病院の安藤昌之院長
新型コロナへの対応について語る都立豊島病院の安藤昌之院長

 都は第5波到来前の21年1月、全約400床の豊島病院に対し、240床のコロナ病床確保を要請した。安藤院長は「突然、言われた」と明かす。
 だが、800人の医師、看護師らは通常医療下でも、400床を回すためにはぎりぎりの人員。コロナには通用しなかった。第5波では、24時間体制で患者の呼吸管理や容体急変に備えなければならず、ベッド1台に多くの人員を要した。
 「都立病院機構」が運営する14病院の病床使用率は63.5%にとどまった。多くの空床があったはずだが、入院できずに自宅で死亡する患者も相次いだ。
 病原性が低いとされるオミクロン株が主流の第8波では、病床使用率がさらに低下する一方、感染者が急増する中、救急搬送できない事例が続出した。昨年12月1日から今年2月末までの3カ月間、死者数は過去最多の1700人に上った。
 確かに医療逼迫ひっぱくは起きていたが、病床使用率には十分反映されなかった。安藤院長は「確保病床数240床と言われても、できるわけがない。最初のミスリードを最後まで引きずった」とみる。(三宅千智)
 東京都の新型コロナウイルス死者 デルタ株が主流だった第5波(2021年7〜9月)の死者数は837人。死亡率は0.41%と低かったが、90代以上は17%、80代では9%に達した。第6波(22年1〜3月)と第7波(同7〜9月)で席巻したオミクロン株は重症化率が低く、死亡率はそれぞれ0.14%、0.09%に低下。ただ感染力が爆発的に強く、死者数は6波で1203人、7波で1342人に増加。22年秋以降の第8波は新規感染者の全数把握が簡略化されたため死亡率は不明だが、22年12月から3カ月間の死者は1700人で過去最多となった。


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