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Tohazugatali Medical Review
7280
:
チバQ
:2022/04/04(月) 19:42:44
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022032600522&g=pol
【点描・永田町】「まん延防止」全面解除の舞台裏
2022年04月03日18時30分
記者の質問に答える岸田文雄首相=3月16日午後、首相官邸
記者の質問に答える岸田文雄首相=3月16日午後、首相官邸
まん延防止等重点措置の延長を要請しないことを決め、取材に応じる大阪府の吉村洋文知事=3月16日午後、大阪市中央区
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染爆発に伴い、政府が多くの都道府県に適用してきたまん延防止等重点措置が、3月22日から全面解除された。政府コロナ対策分科会では一部異論も出たが、岸田文雄首相が最終決断したとされる。首相は「今後しばらく平時への移行期間とし、可能な限り日常生活を取り戻す期間とする」として、経済も含めた社会生活への悪影響回避を優先したことを強調。ただ、尾身茂分科会会長が「リバウンドの可能性は高い」と警鐘を鳴らし、各都道府県別の新規感染者数でも、なお一部が過去最多となるケースが後を絶たない。このため、「政府の対応は初めから全面解除ありき」(自民幹部)との指摘も多く、首相決断の舞台裏での「政局絡みの思惑」(同)を指摘する声も出ている。
首相は3月16日夕の関係閣僚との協議を経て、東京や大阪など18都道府県に適用してきたまん延防止措置について、期限の同21日までですべて解除することを決めた。医療崩壊の危機が続き、最後まで態度未定だった大阪府が、土壇場で延長を求めない方針を表明したことが、決断のポイントとなった。これにより、1月上旬以降最大36都道府県に適用された重点措置は、2カ月半で終止符が打たれた。17日の国会報告を経て同夜の持ち回りの政府対策本部が正式決定の場となったが、首相は16日夜の官邸記者会見で(1)感染防止策が取られた一般事業所では濃厚接触者の特定はしない(2)観光支援事業「GoToトラベル」再開に向け、4月1日から「県民割」を拡大する──などを表明。欧米各国に倣って、ウィズコロナでの経済回復に踏み出す決意を表明、国民の理解と協力を求めた。
◇「ワースト大阪」への対応は政局絡み?
全面解除への表面的経緯を振り返ると、政府は当初、オミクロン株感染爆発と3回目ワクチン接種の大幅遅れで厳しい後手批判を受けた。しかし、3月に入って新規感染者数や死者・重症者の減少が進んで国民の警戒感が薄れ批判が沈静化したこともあり、今回の全面解除は「自然な成り行き」(官邸筋)とも見える。ただ、政府は事前に専門家会議で、解除の条件の大幅緩和を決めるなど、「解除ありきで環境整備を進めてきた」(閣僚経験者)ことは否定できない。しかも、その中で最後まで不透明だった大阪への対応に、「首相のしたたかな戦略が垣間見えた」(閣僚経験者)との声も少なくない。
そもそも、大阪の対応が注目されたのは、医療崩壊の指標ともなる重症者数や死者数を見れば、「大阪が圧倒的ワーストワン」(感染症専門家)だったからだ。ただ、大阪府・市の最高責任者の吉村洋文知事と松井一郎市長は、国政政党・日本維新の会の副代表と代表で、特に吉村氏はコロナ対応で「大阪モデル」を掲げたことで、全国的にも支持、評価されてきた。このため、今回大阪だけ重点措置適用の延長対象となれば、「大阪コンビのコロナ対応の失敗が表面化」(自民幹部)し、維新への批判拡大が確実視される状況だった。
与党内では「そこに目を付けた首相が、吉村氏らに意思表示を迫ることで、政局的な揺さぶりをかけた」(公明幹部)との臆測も広がった。吉村氏は時間ギリギリに「延長申請はしない」と政府にげたを預ける対応でしのごうとしたが、会見では従来の歯切れの良さは消えた。結果的に「首相のしたたかな戦略に維新が土俵を割った格好」(自民長老)にも見える。ただ、新規感染者数の全国的高止まりが続く中での全面解除は「参院選に向けた首相の大ばくち」(同)でもあり、参院選直前の第7波襲来を招けば、自民敗北にもつながりかねないのが実態だ。【政治ジャーナリスト・泉 宏/「地方行政」3月28日号より】。
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