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Tohazugatali Medical Review

726とはずがたり:2009/03/07(土) 02:59:06
>>724-726
【地域保健研究会口腔ケアによる気道感染予防研究委員会】
 メンバーは、佐々木英忠氏(東北大医学部老年呼吸器内科教授)、奥田克爾氏(東京歯科大名誉教授・微生物学講座)、菊谷武氏(日本歯科大歯学部附属病院口腔介護・リハビリテーションセンター長)、阿部修氏(東京歯科大微生物学講座)、小川弘純氏(府中市歯科医師会会長)、北原稔氏(茅ヶ崎保健福祉事務所)、足立三枝子氏(府中市民医療センター歯科衛生士)、田中甲子氏(地域保健研究会代表)の8人(肩書、所属はすべて04年3月時点のもの)。
 研究結果は、06年の「口腔ケアによる気道感染予防教室の実施方法と有効性の評価に関する研究事業報告書」(社会保険研究所刊)、Archives of Gerontology and Geriatrics誌 (Abe S, Ishihara K, Adachi M, Sasaki H, Tanaka K, Okuda K. Professional oral care reduces influenza infection in elderly. Arch Gerontol Geriatr.2006 .43:157-64.) 、06年発行の日本歯科医学学会誌、06年3月15日発行の「歯界展望」などに掲載されている。

【2006年3月15日発行の「歯界展望」】
 「口腔ケアによる細菌性酵素活性の減少とインフルエンザ感染予防」(阿部修、石原和幸、足立三枝子、佐々木英忠、田中甲子、奥田克爾)より一部抜粋。
 「口腔ケアがなぜインフルエンザ感染に影響するのか〜口腔内細菌とインフルエンザウイルスの関係〜」
 インフルエンザウイルスは表面に赤血球凝集素(Hemagglutinin:HA)とノイラミニダーゼ(Neuraminidase:NA)というタンパク質を有しており、宿主細胞への感染と増殖にはそれらが重要な役割を担っている。感染はウイルス表面のHAが、宿主細胞表面のシアル酸を含むウイルスレセプターと結合することで始まる。その後、細胞内にRNAが送りこまれ、ウイルスは宿主細胞を使って増殖を開始する。次に増殖したウイルスは細胞表層に瘤状に存在しNAが結合部のシアル酸を分解することによって、細胞から遊離し他の細胞に感染する。こうした機序によりウイルスは細胞から細胞へと増殖して、感染が進んでゆく。このような感染から増殖、拡散という機序において、細胞内で増殖したウイルスを細胞から遊離させないことによって、感染を抑えるのが、昨今インフルエンザの特効薬として知られるノイラミニダーゼ阻害薬(タミフルなど)である。
 空気中に飛散しているインフルエンザウイルスが咽頭や上気道粘膜に吸着し、細胞に侵入して感染するためには、あらかじめウイルスのHAがサブタンパクユニットであるHA1とHA2とに開裂されていなければならない。その開裂を起こさせる役割を果たすのが、気道上皮細胞や黄色ブドウ球菌などの細菌が産生するトリプシン様プロテアーゼ(TLP)であることが明らかにされている。その他、アエロコッカスや緑膿菌、インフルエンザ菌、セラチア菌、肺炎球菌などの関与も示されている。さらに、直接HA開裂を引き起こさない細菌群においても、気道感染を起こすことによってそれらの内毒素が気道上に刺激を与え、細胞からのTLP産生が促進されることも示唆されている。
 要介護高齢者の口腔内細菌数は増加しており、そのなかにはセラチア菌や黄色ブドウ球菌も存在する。さらにわれわれは高齢者の口腔内衛生状態が悪化しているときに、そうした細菌が増加することを明らかにしてきた。TLPやNAは多くの他の口腔内細菌によっても産生されることが報告されている。さらに、Porphyromonas gingivails(P.g.)、Treponema denticola(T.d.)、Tannerella for sythensis(T.f.)などの歯周病原性細菌が産生する細菌性酵素もTLPであることが明らかにされている。このような状況を考慮すると、口腔内細菌の産生するプロテアーゼが、ウイルス感染に影響する可能性がある。
 このような背景の下に、筆者らは口腔ケアによる唾液中の細菌性TLP活性およびNA活性の変化と、それによるインフルエンザ発症率の関係を調査した。

「研究の概要」―専門的口腔ケア実施群のインフルエンザ発症率が減少―
 (略)2003年9月から2004年3月までの冬季6か月間を介入期間とし、介入前後の唾液内の総生菌数算定、NA活性試験およびTLP活性試験を実施するとともに、期間内のインフルエンザ発症者を調べた。
 唾液内総生菌数、TLP活性、そしてNA活性のすべてにおいて、専門的口腔ケア実施群に有意な低下が認められた。それに対し、コントロール群はすべての項目で介入期間前後での差は認められなかった。
 介入期間内のインフルエンザ発症者数は10名(実施群1名<1.0%>、コントロール群9名<9.8%>であり、コントロール群において有意に発症者数が多かった。(以下略)


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