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Tohazugatali Medical Review

7220チバQ:2022/01/31(月) 20:13:34
トランプ前大統領を崇拝する日本人Qアノンたち
 彼らの主張は、シュプレヒコールの合間にリーダーが入れるアジ演説としてアピールされた。それ以外、デモ隊はひたすら、「We are Q!」を連呼する。しかも、複数の参加者が「TRUMP」と書かれた帽子をかぶり、大きな「TRUMP」のぼりもはためいている。

 にわかにはデモの趣旨が飲み込みにくい。リーダーのアジ演説をよく聞いて、ようやく全貌と背景が理解できる。

「私たちはトランプ大統領から承認された世界で17億人いるQです!」
「私たちは『神真都(やまと)Q』という団体です!」

 2020年11月に一般投票が行われたアメリカ大統領選で、ドナルド・トランプを支持した陰謀論集団「Qアノン」。翌年1月には、トランプが破れた選挙結果を不正だと主張し、一部が米連邦議会を襲撃し、死傷者を出した。

 そのQアノンの日本グループを名乗るのが、今回のデモを行った「神真都Q」だ。

 この日のデモの直前には、参加者だけの非公開SNSグループ内で、新宿のワクチン接種会場を閉鎖に追い込もうと仲間を煽る者もいた。無数にある同様のSNSグループの中には、接種会場への放火予告を提案した参加者がいるという情報も一般に出回った。

 幸いにも、今回のデモで暴力行為はなかったようだが、何せアメリカでは議事堂を襲撃したQアノンを自認する集団だ。今後も不安は拭えない。

宗教系Jアノンとは別の新興勢力
 2020年の米大統領選の前後、日本でもトランプを支持するデモが繰り返された。オーガナイズしていた主力は、統一教会分派のサンクチュアリ教会(日本サンクチュアリ協会)や幸福の科学の信者たち。彼らは大統領選が決着すると、最近では反北京五輪運動に移行している。先だってデイリー新潮でリポートした「北京五輪をボイコットせよ! 『Jアノン』が1年ぶりに大集結を実況中継」(21年12月14日)の通りだ。

 神真都Qは、いずれとも別の新興勢力。『あなたを陰謀論者にする言葉』(フォレスト2545新書)の著書があるライターの雨宮純氏は、こう解説する。

「彼らは“光と闇の銀河戦争”から逃れてきた宇宙人が地球の政府機関等を支配しているというオカルト的な世界観を主張し、“大和民族”を“善なる宇宙人”や“龍神”の末裔と位置づけています。団体のマークが龍で“Q”の字を描くデザインなのも、その象徴です。昨年末から、その一群の中の数人のインフルエンサーが中心になって、いまこそ闇の勢力と戦うべきと呼びかけ勢いを増してきました。既存宗教系の“Jアノン”とは一味違ったオカルトやスピリチュアルの影響を強く受けたQアノン一派です」

 言うなれば、これまでさして組織化されていなかったオカルト・ナショナリストのグループだ。

 昨年秋頃から、彼らはネット上で人々の「覚醒」を呼びかけ、今年1月9日に日本全国で同時多発デモを行い、東京・渋谷ではおよそ1000人が集まったという。今回の新宿は300人ほどだが、同じく全国同時多発方式だ。

デモ後、参加者たちが発熱
 新宿でのデモを、私は当然、マスクを着用して取材した。その際、デモ隊の先頭にいた参加者の一人から「あなたはどっち側なんだ!」と詰め寄られた。

 デモ終了後、リーダーに声をかけた。

「マスクしないほうがいいですよ。あなたは敵側ですか?」

――取材なのでどちらでもないが、さっきもどっち側かと聞かれた。どっちとは何と何の側なのか?

「光と闇です!」

――ワクチンを打つのが闇側ということか?

「それは支配者層がダボス会議で……」

「もう疲れてるのでこの辺で」(別のスタッフ)

 デモが行われたこの日、東京都内では9468人の新規感染者が確認された。そして4日後の1月27日。私が会話した新宿隊リーダーがTwitterで、神真都Q執行部と新宿デモ参加者たちが発熱したと投稿。リーダー本人も発熱したようだ。翌日にはこんなツイートを投稿している。

〈新宿隊 次から次へ熱が出てる/執行部のみんな渋谷隊のメンバーも お大事にしてね/私は元気になったよ〉

 コロナは存在しないと主張している集団だ。発熱もどうやらコロナではなく、闇の勢力からの攻撃だと疑っているらしい。幸いにも私は発熱その他の症状は全く出ていないが、正直、ヒヤリとした。

藤倉善郎(ふじくら・よしろう)
ジャーナリスト。1974年生まれ。宗教団体以外も含めた「カルト」の問題を取材。2009年にはカルト問題専門のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、カルト被害、カルト2世問題、カルトと政治の関係、ニセ科学やニセ医療、自己啓発セミナーの問題などの取材を続けている。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島SUGOI文庫)。

デイリー新潮編集部


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