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Tohazugatali Medical Review

6703チバQ:2021/07/14(水) 23:52:10
 ところで、日本では現在、ワクチンを少なくとも1回接種した人が、総人口の25%に達している。各地で接種の延期等が生じ、不安な向きも多いと思われるが、

「現時点で、すべての自治体の住民台帳に登録されている人数×2回分のワクチンは、すでに発送ずみです。届いているかはわかりませんが、発送はしています」

 と、厚生労働省健康局健康課予防接種室。混乱はあっても、1日100万回のペースで接種は進んでいる。東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授が言う。

「いまのペースで接種が進めば、8月末ごろには全国民の5割弱くらいが接種を終えると期待され、それ以降、感染者数も減少に向かうことは考えられます」

 そのうえで、さらに次のような見解を示す。

秋にかけて収束に向かう
「ワクチンと変異株という要因が加わったいまは、感染者数だけでなく、感染者の年齢構成、デルタ株の割合、入院患者数、病床利用率、療養者数、療養が必要な人に占める入院率、そして重症者数、死亡者数などを、総合的に判断する必要性が増していると思います。特にワクチン効果で重症化を抑えられつつあるいまは、以前と状況が違うので、感染者数ばかりにとらわれるのはよくありません」

 季節性インフルエンザの場合、厚労省の人口動態調査によると、2019年にインフルエンザが原因とされる死者は3575人だった。むろん高齢者が多いとはいえ、20歳未満も104人を数える。一方、新型コロナは感染が拡大しはじめた初期のころから、重症化し、死亡する人の大半は高齢者で、厚労省によれば20歳未満の死者は、いまだ一人もいない。寺嶋教授も、

「インフルエンザの場合、小さいお子さんと高齢者が重症化しやすい傾向もありましたが、新型コロナの場合は、高齢者だけリスクが高いのが特徴です」

 と話す。繰り返すが、高齢者は守られつつあるのである。その状況で感染者数に一喜一憂するのは、ナンセンス極まりない。

 前出の川口氏は、

「デルタ株については、たとえ若い人が感染しても重症化するというエビデンスもありません。だから、さらなる変異株が登場することなく、このままデルタ株にとどまってくれれば、ワクチンがゲームチェンジャーとなって、秋にかけて収束に向かうと思います」

 という見通しを示したうえで、こう訴える。

「そのためにはワクチン一本やりでなく、治療薬との合わせ技が大切になります。今後は感染した人が発症しないための薬、軽症の人が重症化しないための薬、重症の人が死なないようにする薬、というように、フェーズ別の治療薬を開発する段階に入ると思います」

 治療薬といえば、本誌(「週刊新潮」)がたびたび取り上げてきたイベルメクチンの臨床試験を、興和が行うという。製造元の米メルク社が、新型コロナ向けの治験に消極的だっただけに、興和が名乗りを上げたのは朗報である。

「詳細は今後、規制当局である医薬品医療機器総合機構(PMDA)と相談して決めることになります」(興和の担当者)

 現時点の予定では、軽症者800〜千人を対象とした治験を行い、年内には薬事承認に向けた申請をしたいようである。

 五輪を控えての、この空騒ぎを前にしていると気づきにくいが、コロナの出口は確実に近づいている。

「週刊新潮」2021年7月15日号 掲載

新潮社


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