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Tohazugatali Medical Review
6655
:
とはずがたり
:2021/07/07(水) 09:19:37
>>6654
重症病床がパンク
第4波の変異株の威力はなかなかすさまじく、あっという間に重症病床が埋まってしまいました。私の記憶が正しければ、4月7日時点で「重症病床はもう"待ち"が発生していて、転院できません」と言われました。グラフ(図)をみても、第4波では重症病床使用率の立ち上がりが第2波・3波より急峻なのが分かります。
大阪府病床使用率(筆者作成)
かくして、多くのCOVID-19を引き受けてきた軽症中等症病床では、いつ重症化するか分からない大量の患者さんを抱えた戦いが始まりました。4月に入って3週間、その間50人以上の患者さんが当院に入院したのですが、その6割以上が酸素が足りない状態(呼吸不全)に陥っており、第3波より酸素療法が必要だった割合がかなり高い状況です。
人工呼吸器を装着しても転院できないケースが大阪府内で多発し、一時、約70人の重症者が軽症中等症病床で管理されているという状況に陥りました。
重症病床に大量の"待ち"が発生していたため、重症予備軍を多数抱えることに現場の不安と負担が常に大きい状態でした。ここで人工呼吸器を装着せざるを得ない患者さんが病棟で3人、4人と発生すれば、ケアする看護師の心は折れてしまうかもしれないと感じました。
すみやかな病床確保が必要
それでも、誰かが診ないと、患者さんは自宅やホテルで病状が悪化してしまうかもしれません。実際、COVID-19と診断された人の症状が悪化して救急要請をしたものの、搬送までにかなりの時間を要した事例が報道されています。これは、軽症中等症病床に入院している患者さんの重症度が底上げされていて、人的資源が枯渇していたからです。
大阪府は改正感染症法に基づき170以上の病院に病床確保を要請しました。これにより、軽症中等症病床を追加で約1100床確保することを目指しています。ゴールデンウィークがおそらく大阪府第4波のピークになるため、新規に確保したうちの約200床は稼働させるよう依頼しています。また、待機手術もできるだけ遅らせて、使えるベッドをできるだけCOVID-19に回すよう要請しています。
ありがたいことに、府内の多数の病院が協力し、当初220床あまりだった重症の確保病床が一気に100床以上増えました(図の矢印)。
大阪府重症患者数(※府の重症の定義は「ICU入室、挿管、人工呼吸器装着、ECMO使用」のいずれかとしています。現在COVID-19でICUに入るということは、人工呼吸器を装着することとイコールです。)
(筆者作成)
もちろん、病床は原泉のように湧いて出てきたわけではなく、カンフル的な捻出だとは思います。ここから先は、病床をさらに増やす以外に第4波を乗り切る方法はなさそうです。しかし、それ以外の救急医療、外科手術など集中治療も守らなければいけません。やみくもにコロナ病床を増やして、それ以外の医療がおろそかになってしまえば、通常の重症医療を維持することができなくなります。
現在、大阪府の医療従事者が一丸となってコロナに立ち向かっています。今後到来しうる第5波以降の医療逼迫を最小限にするためにも、ワクチン施策がすみやかにすすむことが重要です。
これまでの傾向から、次の波は7〜9月と予想されます。できるだけ山を低くするためにも、外出を控え、マスクを装着し、密を避けるという地道な予防策を続けていく必要があります。
倉原優
呼吸器内科医
国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。
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