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Tohazugatali Medical Review

6162チバQ:2021/04/20(火) 20:31:55
■「名門」女子医大の光と影

 東京女子医大が名門としての存在感を放っているのは、日本を代表するカリスマ的な医師が揃っていたからだ。

 現在、本院の副院長を務める、心臓血管外科医の新浪博教授もその一人。群馬大学医学部を卒業後、東京女子医大の日本心臓血圧研究所に入局して、オーストラリアに渡り、日本とはケタ違いの手術数で腕を磨いた。帰国後、天皇陛下(当時)の執刀医を務めた天野篤氏と働くなどして、わが国を代表する心臓外科医となり、2018年から古巣の東京女子医大に復帰している。

 伝統的に心臓外科、脳外科、臓器移植などの外科分野は、国内トップレベルの手術件数を誇ってきた東京女子医大。

 新浪教授のようなカリスマ的な外科医の元には、全国の優秀な若手医師が必然的に集まる。そのため、唯一の女子大医学部でありながら、外科系の医局(診療科)は、他大学出身の男性医師が大半を占めるようになった。

 その一方で、影の部分も存在する。あまり知られていないが、私立の医大病院に勤める医師給与は、一般病院に勤務する医師よりもかなり低い。

 30歳の場合、東京女子医大の基本給は25.9万円、東京医大:31.1万円。これに対して、日赤医療センター:41.1万円、がん研有明病院:49.7万円。(東京医労連調査部「賃金・労働条件実態 2020年度版」より)

 病院によって資格手当などが加算されているので、あくまで参考値だが、東京女子医大の給与が低いことに変わりはない。

 名門で華やかなイメージを持つ東京女子医大の医師給与が、最低ランクという自慢できない現実もある。

 「給料が安くても東京女子医大の人気が高いのは、間違いなく国内トップレベルの医療が行われているからです。それに公的な資金を獲得して研究を行う場合には、女子医大のネームバリューが圧倒的に有利になります」(30代医師)

 このように目的意識を持つ医師が、安月給を承知のうえで、東京女子医大を選択しているのだという。

■外部病院でのアルバイトという救済措置

 ただし、それでは生活を維持できないので、救済措置が用意されている。それは、外部の病院でのアルバイト=「外勤」である。東京女子医大では週1回の研究日が設定されており、その日は「外勤」に当てられていた。

 「外勤先の病院は大学の医局が斡旋します。医師の経験にもよりますが、報酬は、1日働いて8万〜10万円。医局はスルーして、各医師に報酬は直接支払われます。これで安い給料を補填するのが、長年の慣行となっていました」(東京女子医大・元准教授)

 医師のアルバイト料は、他の業種と比べると破格だ。ただし、医療ミスなどで、多額の賠償を医師個人が要求されるケースも増えている。つまり、医師個人がつねにリスクを負いながら仕事をしているのだ。

 外勤中の賠償責任保険料は、基本的に各医師の自己負担になる。さらに、学会の会費や医学誌などの費用を合わせると、年間数十万円が自腹になるという。こうした経費を引くと、手元に残る金額はそれほど多くない。

 こうした特殊な事情から、研究日の「外勤」は、東京女子医大だけでなく、大半の大学医学部でも認められてきた慣例だった。経営側としてはコストを抑えながら、優秀な医師を確保するための苦肉の策ともいえる。

 しかし、東京女子医大の経営陣はこの慣例を一方的に破った。


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