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Tohazugatali Medical Review

4713とはずがたり:2016/09/24(土) 18:53:45
>>4712-4713
ワクチンさえうてば防げる病気

 と、えらそうなことを書いていますが、私がこのSSPEという病気のことを知ったのは医学部に入ってからです。私は社会人経験を経て医学受験をしていて、入学は27歳のとき。SSPEについて学んだのは3年生のときのウイルス学の授業でしたから、当時29歳です。同世代の友人のなかには子供がいる者も大勢いました。何人かに聞いてみたところSSPEを知っている者は皆無でした。

 幸いなことに、私の友人のなかには「ワクチン反対派」はいなかったために、全員が少なくとも定期接種はおこなっており、問題は起きていませんでした。もしもワクチンに否定的な者がいれば、私はSSPEについて教えるつもりでいました。

 友人にワクチン反対派がいれば、私はとことん説得するつもりでいましたが、すべての医師や医学生が私のような「おせっかい」とは限りませんし、すべての日本人が友達に医師や医学生がいるわけではありません。では、行政が積極的にSSPEのことを子供を持った人に伝えた上で定期予防接種の案内をしているのかと言えば、そういうわけでもありません。すると、そういう医学的な情報の説明は小児科医の責任ではないのか、という声も聞こえてきそうですが、患者さんに追われる忙しい外来診療のなかですべての人にSSPEの説明をすることなど到底できません。ちなみに、私が小児科で研修を受けていた頃、親御さんにSSPEの説明をしたことは一度もありません(自慢するようなことではなく、むしろ恥ずべきことなのですが……)。

 SSPEは子供の病気であり、成人になって発症することはありません。では成人は麻疹の予防接種をしなくていいのでしょうか。これは最終的には自己判断になりますが、安易に判断する前に、成人が発症する麻疹についても知っておく必要があります。

「はしかにでもかかったようなもの……」と言えるのか

 成人の麻疹は、一言で言えばとても重症化します。死亡することもあります。数年前から風疹が流行し、妊娠中に風疹ウイルスに感染すれば先天性風疹症候群という奇形を伴う赤ちゃんが生まれる可能性があることが周知されました。結果、妊娠前に風疹ワクチンの接種を希望する女性が増えました。これはいいことなのですが、麻疹にも注意を払うべきです。風疹のような母子感染はありませんが、妊娠中に麻疹に感染すれば、高熱で胎児の生存が危うくなります。もちろん母体も危険です。

 はしかにでもかかったようなもの……。この慣用句、どう思いますか?

谷口恭
太融寺町谷口医院院長
たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト


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