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Tohazugatali Medical Review
4442
:
とはずがたり
:2015/09/02(水) 23:57:22
>>4440-4442
製薬会社によるサポートシステム
国に頼るだけでは疾患同士の資源の食い合いになってしまう。今後長期にわたってこのような患者を支えるには、民間主導のサポートシステムも重要だ。
例えば、慢性骨髄性白血病(CML)という血液のがんなどの患者に対し、支援金を交付する「つばさ支援基金」という活動がある。企業や個人から寄付金を集め、CML患者に医療費助成を行っているのである。
高額療養費が月4万4400円となる、年収370万円以下の家庭に対し、月額2万円を支給する。この基金の立ち上げ時に積極的に寄付をしたのは、グリベックという、CML治療のキードラッグを販売しているノバルティスファーマ社である。
基金により有効な治療薬の情報が広まり、グリベックを使用する患者が増えれば、長期的には製薬会社の利益にもつながる。同じような基金をリウマチ患者に対しても設立することはできないだろうか。
患者への投資が差別化にもつながる
現在関節リウマチに対して日本で認可が下りている分子標的薬は8種類。剤型や副作用により使い分けはあるものの、有効性についてはどの薬剤も有意差はないと言われている(表1)。
つまり、副作用のリスクの低い患者さんに8種類のうちのどの製剤を使用するか、という選択時には、薬価という要素が無視できないのである。
もし関節リウマチの分子標的薬に対し、製薬会社がつばさ支援基金と同じような基金を設立することができればどうだろうか。これまで治療を受けられなかった患者さんが治療を受けられるようになるだけでなく、他の薬との差別化にもつながる。製薬会社にとっても、損にはならない話である。
特に、遅れて参入したシムジアR(成分名:セルトリズマブ;アステラス製薬/UCBジャパン)、ゼルヤンツR(トファチニブ;ファイザー/武田薬品)を販売する会社にとってはチャンスになるのではないだろうか。
とりわけ武田薬品は230年の歴史がある日本が誇る製薬会社だ。しかし最近先日降圧剤ブロプレスRに関する誇大広告で行政指導を受け、世間ではやや逆風が吹いているとも言える。このような製薬会社にとって、リウマチ基金などによる患者への還元は、汚名を雪ぐよい機会にもなるのではないか。
骨太指針に頼らない制度の構築を
来たる超高齢化社会に備え、増税による資金確保と医療費抑制の流れは避け難いであろう。現在の医療費削減にばかり重きを置いた骨太方針では、経済弱者を救う有効策が出ることは期待できない。
医療の中心はあくまで患者だ。治る患者を見捨てぬためにも、限られた資源の中でより高いQOLを達成できる方法を模索し、患者の視点に立った見直しが必要である。その舵取りをする力は民間にこそあるのかもしれない。
今現在も、医療費の壁により、治癒・寛解が可能な大勢の関節リウマチ患者が健康寿命も平均寿命も縮められている。このサイレント・マジョリティーに社会の目が向けられることを祈りたい。
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