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Tohazugatali Medical Review

4441とはずがたり:2015/09/02(水) 23:57:03
薬価の壁
 「初めてこの薬を使った時、悔し泣きしました。あと10年早くこの薬が出ていれば、私も今頃普通に歩けていたのに・・・」

 15年来関節リウマチに苦しんでいたある50代の女性患者が寛解を得た時の言葉だ。残念ながら導入時には手足の変形が進み、車椅子生活となっていた。発症前はゴルフの大好きなキャリアウーマンだったという。

 しかし皮肉なことに、彼女がこの薬を使えた1つの理由に、身体障害者手帳1級を持ち、治療費が無料だったということがある。

 現在20%ほどのシェアを持つ分子標的薬であるが、実際には対象となる患者はもっと多く、おそらく関節リウマチ患者の3?4割はいるのではないかと言われている。その治療を阻むのが、薬価の壁だ。

 分子標的薬は、医療費3割負担の場合、毎月3万?5万円の費用がかかる。2015年に高額療養費制度が見直されたが、それでも年収が約370万円以下の家庭での自己負担限度額は5万7600円。他の医療費も合わせて高額医療となったとしても、年70万円近くの出費になる。

 現在日本人の平均所得は2013年の時点で1世帯当たり530万円。約3分の1の世帯が所得300万円以下で暮らす*2。さらに、子育て世代である30?50歳の世帯では、平均借入金額も700万円を超える。このような環境で、子育て中の方、専業主婦の方が、年間30万?70万円もの医療費を払い続けるのは困難である。

 「子供の養育費のために貯金が必要なんです」と、治療を遠慮され、徐々に関節が変形していく方を私自身も診てきた経験がある。

がんよりも理解されにくいリウマチ
 関節リウマチはがんなどの消耗性の疾患と違い、家族の理解も得にくいことも多い。がんと言えば非常に重症に聞こえるが、関節リウマチというとその重症感がない。「関節が痛いだけの病気」になぜ高額の医療が必要かを理解してもらえないからだ。

 手足の小関節に強い炎症が起こると、お皿を持つ、ドアノブをひねる、物を書く、そのような動作が著しく障害され、家事やデスクワークもできないことすらある。しかし関節リウマチ患者は顔色もよく、食欲もあり、普通に歩けていることも多いため、いたって健康に見えてしまう。

 「ただでさえ『なまけ病』って言われているのに、そんな金額は夫に頼めない」。そういわれて分子標的薬をためらわれる専業主婦の方も多い。

*2=厚生労働省. 平成25 年 国民生活基礎調査の概況.

「難病指定」では解決しない
 実は関節リウマチ以外の多くの自己免疫疾患は難病に指定されており、一定額の補助が受けられる。関節リウマチは難病指定の対象となっていない、ほぼ唯一の疾患なのである。

 原因の1つは、関節リウマチの患者数の多さだ。現在の難病の医療受給者数は約85万人だが、関節リウマチ患者数は60万人。リウマチ患者を難病に指定すれば、成人難病にかかる事業費1820億円(うち国費910億円)が単純計算でも1.5倍以上になる。我が国の財政状況を考えれば、現実的ではない選択だ。

 もちろん減額ばかりで効率化を図らない現在の骨太方針の見直しは必要だ。しかし国にぶら下がるばかりでは、これだけ多くの患者を救うことはできない。1つの解決策として考えられるのは、民間や製薬会社による基金の設立である。


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