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Tohazugatali Medical Review

2278とはずがたり:2014/03/07(金) 07:58:26
>>2276-2278
「日本の医療は世界一」の危険

 もう1つ、日本の医療水準に対する過信も問題です。日本の医療が世界一、と言われるゆえんは、2000年の世界保健報告(World Health Report)*5で、日本が総合評価(overall attainment)で第1位にランクされたことによります。

 この1つのりポートを根拠に、その後10年以上経った今でも「日本の医療は世界一」と言い続けている人が大勢いらっしゃるのです。しかし、改善努力もしないまま10年以上も世界一で居続けることが本当に可能なのでしょうか?

 もしかしたら、今でも日本の医療が世界一であるのかもしれません。しかしその水準を支えるのは、過労死ラインを遥かに超えた医療スタッフの労働です*6。様々な医療従事者の切実な訴えにもかかわらず、この過酷な労働環境は改善の気配もありません。

 今回の災害は、既に過労死ラインを超えた労働環境の病院を直撃しました。患者数が激増し物流の途絶える中で、すべてのスタッフが必死で頑張られた結果、東日本大震災の2次災害は世界でも称賛されるほど少ないものとなりました。

 その結果のみをして「日本人はすごいから次の災害でも頑張れる」という神話を作り上げているのではないか、そのようにも感じます。

 『永遠の0』という小説が流行っているようですが、この小説ではゼロ戦を「世界一」ともてはやし、1回だけの栄光を根拠にその後のシステム改善の努力を怠ったことが辛辣に描かれています。

 日本の医療を世界一と称して医療ミスを個人の努力不足と片づける、今の医療現場と大変似ていると感じるのは、私だけではないでしょう。

「戦争の歴史」は「災害の歴史」

 なぜ、被災地では第2次世界大戦と同じ愚を犯そうとしているのでしょうか。それは歴史からの学び方に問題があるのではないか、というのが私の考えです。例えば第2次世界大戦の歴史を振り返る時、「戦争を繰り返さない」ことだけが歴史に学ぶことだと考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

 しかし災害という視点から見れば、「人災」も「天災」も同じ「有事」です。災害医療の世界でも、戦争と自然災害は同じ問題を抱えており*7、共有すべきものである、という意見が主流を占めてきています。

 例えば先のコソボ紛争の際、避難民が内服薬や検査値のリストを失ったことによる慢性疾患の悪化が問題となりました*8。また、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や妊産婦の健康も問題となります。

 逆に、昨年フィリピンを襲った台風の後、物資の不足により治安が悪化し、人災による死傷者も増えました。健康問題という意味で見れば、人災も天災も、規模の差こそあれ非常に似ているのです。

 戦争がない限り歴史は繰り返さない、のではなく、天災が起こればいつでも戦時と同じ状況が起こり得る、そういう視点で日本の戦争の歴史を見直してみることが大切ではないでしょうか。

歴史は繰り返す

 また、各国の有事における問題解決のプロセスには、国民性が非常に表れると思います。中国の大陸思想、英国の帝国主義、ドイツの民族主義・・・もちろん十把一絡げにはできませんが、他の国を見る限り国のメンタリティというものはそれほど簡単には変わりません。歴史が繰り返す理由の1つはこのプロセスの類似なのかもしれません。


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