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Tohazugatali Medical Review
1676
:
とはずがたり
:2011/11/29(火) 09:49:41
命の地域格差なくそう
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20111127-OYT8T00741.htm
タンデムマス法検査の普及を訴える 柏木明子さん
タンデムマス法検査の普及を全国に訴える柏木明子さん(横浜市都筑区で)
2000年11月、横浜市都筑区の自宅近くの産科医で出産した長男の虎太郎君は、10万人に1人の発症といわれる「メチルマロン酸血症」の最重症型と診断された。少しでも自力で代謝できるようにと、自身の肝臓の一部を提供し、生後4か月で移植手術に臨んだ。早い対応が功を奏し、今は元気に小学校に通う。
こうした経験を通して、メチルマロン酸血症のような先天性の代謝異常を、新生児期の段階で発見できる「タンデムマス法検査」の必要性を訴える。活動は実を結んで、今年10月に神奈川県で導入され、さらに全国への普及を目指している。
メチルマロン酸血症は、代謝機能に問題があり、たんぱく質など特定の物質をうまく処理できない病気。当時、国内ではこの患者で生体肝移植に成功した例はなかったというが、「このままでは1歳の誕生日を迎えられないかもしれない」との担当医の言葉に、手術を決心した。虎太郎君の入院生活は生後8か月まで続いた。
退院後の02年、ホームページを作って、虎太郎君が元気に生活する様子を紹介すると、同じ病気の子がいる家族から連絡が来た。交流の輪が広がり、05年、代謝異常症の子供を持つ14家族で患者の会を設立した。
インターネットなどで調べるうち、従来の新生児の検査で判断できる病気は6種類なのに対し、タンデムマス法という検査では、20種類以上の病気の有無がわかることを知った。検査機があれば、血液を採取するだけで済むこともわかり、タンデムマス法の導入を行政に働きかけることを決めた。
05年と06年、メンバーの子供が相次いで亡くなる悲しい出来事があった。それでも、その子の親たちは活動を続けた。「元気になっていく仲間の子供の話を聞くのはつらいはずなのに。この活動を、次の命に結びつけなければいけない」と決意を新たにする。
08年、代謝異常症を研究している島根大教授らと協力してシンポジウムなどを始めた。林文子・横浜市長と市民が交流する会合にも参加して、タンデムマス法検査の必要性を訴え、10年10月には県議会に導入を請願後、厚生労働省に意見書を提出した。11年3月、厚労省は都道府県などに対して検査料の交付を決め、神奈川が名乗りを上げた。
虎太郎君は今、給食の牛乳をお茶に変え、肉や魚は半分だけにしたり、約30錠の栄養剤などを毎日飲んだりして生活している。発作などの症状は抑えられており、「早期発見と予防が重要」と改めて感じている。「早く診断にたどり着いた子供は元気にしているが、そうでない子供は亡くなったり重症になったりしてしまう。命の格差が地域によってあってはいけない」と力を込める。(水戸部絵美)
(2011年11月28日 読売新聞)
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