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Tohazugatali Medical Review
1534
:
チバQ
:2011/03/30(水) 00:40:39
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=38777
[福島・いわきルポ]独自の被災地医療態勢が機能
医師らボランティア受け入れ工夫
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その日の避難所巡回診療を報告する各地の支援チーム(26日、いわき市医師会館で) 巨大地震から半月。先週末、外科医で順天堂大医学部先任准教授の斎藤光江医師らと共に福島県いわき市に入った。地震と津波、原発事故という前代未聞の“複合災害”に陥った同市では、各地からの助っ人をフルに生かした独自の被災地医療態勢が機能している。(編集委員・前野一雄)
医薬品、アレルギー児用ミルク、紙おむつ、生理用品、ミネラル水、生活用品などをワゴン車に詰め込んで、東京から常磐自動車道を一路北上した。太平洋沿いのいわき市は、茨城県と接する福島県南部にあり、県内最大の人口を持つ中核都市。北端は福島原発の30キロ圏内にかかる。総面積が全国第2位の広大な市内には60の避難所が点在する。津波で家屋を流されたり、原発事故で地域ごと退避を余儀なくされたりした約3700人が身を寄せる。
「物資はほぼ満たされるようになりました」。同市医師会の木田光一会長は、持参した支援物資をやんわり断りながら、「原発が収束しない限り、行き場のない人ばかりが集まっています。今、迫られるのは避難所のケアに当たる医療従事者の確保」と訴える。
市街地のある避難所を訪れた。暖房のない体育館に、この日やっとビニール畳が敷かれたものの、毛布にくるまって寒さに耐える劣悪な環境。とりわけ高齢者には長い避難所生活が、持病の悪化や、感染症の拡大を招く。
「課題は、小児らの感染症、高血圧や糖尿病など高齢者の慢性疾患、そして被災者の心のケアの3点」と会長は断言する。
しかし、地域医療を担ってきた診療所は壊滅状態。会長の診療所も浸水するなど、270の診療所は地震直後に約10に減少した。徐々に再開しているが、「午前中のみ」といった時間を区切る所を含めても半数程度。とても被災者の診察に当たる余裕はない。
長期戦が必至な地域医療の再生。陣頭指揮に立つ木田会長は知恵を絞った取り組みをいち早く始めた。
放射線被曝(ひばく)の風評被害で物流が途絶え、医薬品不足に陥る中、日本医師会を通じ、愛知県医師会からわずか1日で150品目800キロの医薬品がヘリで到着。19日から避難所の巡回診療を開始した。
負担かけず2、3日ごと交代
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愛知県から空輸で届いた医薬品を仕分けるボランティアの薬剤師たち(26日) 戦力は各地から集まった医療支援チームのボランティアたちだ。受け入れる方は、長期間滞在を望みがち。一方、ボランティア側が過重な負担になれば支援の志が実現できない。そこで、時間を工面して駆けつけた人材をチーム編成し、2、3日ごとに順次交代していくことにした。「支援チームが疲弊しては、長続きしない。とにかく穴を空けないことが重要」(木田会長)。愛知県のチームは6回入れ替わっている。
医師、看護師、事務らが一組で巡回診療に当たる。日々最低6チームが編成できるよう市医師会のホームページ「医療支援カレンダー」で、募集情報を集約し、人材を分配する。個人参加の各職種の人もチームに組み込み、薬剤師が医薬品の管理にあたる。
毎日午後5時から一日の診療内容や問題を報告し、翌日の解決策を打ち出す。私たちが訪れた日は福岡、京都、三重、愛知、富山、山梨などの約50人が集合。ぜんそく、気管支炎、感染性胃腸炎、高血圧、パーキンソン病、不眠、津波に巻き込まれたショックによるパニック症状、自主避難地域内に家族と残る90歳代の胃ろう(管で栄養摂取する)患者らが引き継がれた。
「未曽有の危機には、新たな仕組みに変えていくことが社会の機能を復活させるカギ」と斎藤准教授は評価する。チームのだれもが充実感に満ちている。職場に戻っても、さらなる仲間を呼び込むだろう。
求められるのは、現場に即した確かな戦略を打ち出す司令塔だと、肌で感じた。
◇
運んだ支援物資は翌日、約1000人が生活する福島市のあづま総合運動公園の避難所に届けた。
(2011年3月29日 読売新聞)
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