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Tohazugatali Medical Review

121とはずがたり@生命科学:2005/09/02(金) 11:21:22

RNA:遺伝子を起動 ”がらくたDNA”が大量作成
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20050902k0000m040163000c.html

 マウスの全遺伝情報(ゲノム)を解析した結果、これまでは何の役にも立っていないと考えられていた部分から、遺伝子の発現を指令するなど重要な機能を持つ約2万3000種類ものRNA(リボ核酸)が作られていることを、理化学研究所など11カ国の国際研究チームが発見した。RNAはDNA(デオキシリボ核酸)の遺伝情報を読み取ってたんぱく質を合成する「脇役」と考えられてきたが、この考えを根底から覆す成果で、2日付の米科学誌サイエンスに掲載される。

 ◇理研などが解明

 ヒトの遺伝子の数は、ショウジョウバエとほぼ同じ約2万2000個だが、こうしたRNAの機能の違いが、複雑な生命活動を生み出しているとみられる。

 DNAはたんぱく質を作る設計図で、DNAの持つ全遺伝情報をゲノムと呼ぶ。しかし、実際にたんぱく質を作るのに必要なDNAはごくわずかで、ヒトの場合、必要なDNAは全体の約2%に過ぎず、残りは「ジャンク(がらくた)」とされてきた。

 理研ゲノム科学総合研究センターの林崎良英主任研究員らは、マウスのゲノムを詳しく分析し、計4万4147種類のRNAが作られていることを発見。このうちの53%に相当する2万3218種類は、たんぱく質合成に関与せず、遺伝子をいつ、どこで発現させるかを指令するなどの重要な役割を担っていた。ゲノムの少なくとも約7割が、RNAに転写されていることも突き止めた。

 今後、ヒトのRNA解析が進めば、さまざまな病気の治療に役立つ可能性があるという。

 林崎さんは「何もないと思われていた場所に、RNAの新大陸があったという感じだ。RNAの役割は想像以上に大きく、われわれは認識を改めなくてはならない」と話している。【西川拓】

 ▽中村義一・東京大医科学研究所教授(遺伝子動態分野)の話 これまでのゲノム研究は、DNAとたんぱく質の解析が中心だった。しかし、それだけではヒトとショウジョウバエ、ほ乳類と植物など、遺伝子の数がほとんど変わらない生物の違いが説明できなかった。何らかの機能を持つRNAが大量に存在し、DNAのどこで作られるかが特定されたことは、陰に隠れていた複雑な生命活動のネットワークを浮き彫りにした。高等生物の精密な仕組みを明らかにする第一歩といえる。

<ことば>DNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸) 生物の遺伝情報は、細胞核にある二重らせん構造のDNAによって記憶されている。4種類の塩基が並んでおり、このうち遺伝子と呼ばれる特定の部分の塩基配列を、特殊な酵素が写し取ってRNAを作り(転写)、さらにRNAの塩基配列に対応したアミノ酸が別種のRNAによって運ばれてきてたんぱく質が合成される(翻訳)。RNAは従来、遺伝情報の仲介やアミノ酸の運搬だけが役割と考えられていた。

毎日新聞 2005年9月2日 3時00分 (最終更新時間 9月2日 7時34分)


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