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電力・発電・原子力スレ

1とはずがたり:2004/04/07(水) 04:36
原子力発電は根本的な欠陥を持つのではないかという疑念を晴らせないで居る。
太陽光・風力など自然エネルギー活用型社会への移行を目指すスレ

http://www.fepc.or.jp/index-f.html
電気事業連合会
http://www.fepc.or.jp/menu/link.html
同会リンク

http://eneken.ieej.or.jp/index.html
日本エネルギー経済研究所

5390とはずがたり:2019/01/10(木) 09:50:56

データ不正提供疑惑・計算ミス発覚の個人被爆線量論文。早野教授は研究者として真摯な対応を
https://hbol.jp/183049
2019.01.10
牧野淳一郎



問題となった論文と、その「政治性」
 論文自体がどういうものかをみておきます。これは I, II からなる2本で、だれでも無料でダウンロードし、読むことができます。

●Individual external dose monitoring of all citizens of Date City by passive dosimeter 5 to 51 months after the Fukushima NPP accident (series): 1. Comparison of individual dose with ambient dose rate monitored by aircraft surveys

●Individual external dose monitoring of all citizens of Date City by passive dosimeter 5 to 51 months after the Fukushima NPP accident(series): II. Prediction of lifetime additional effective dose and evaluating the effect of decontamination on individual dose  論文の内容ですが、詳細は福島県立医科大学のウェブページにある紹介を確認して頂ければお分かりになりますが、簡単にまとめると以下のような内容です。

 第一論文では、福島県伊達市は2011年8月から市民を対象としたガラスバッジによる個人線量測定のデータを使い、空間線量率の調査結果から、個人線量を推定する方法を確立するための研究をおこなっています。

 実測された個人の外部被ばく線量は航空機モニタリング調査における居住する場所の空間線量率によく比例し、その比例係数はおよそ0.15倍だったという結論を得ています。(参照:福島県立医科大学)  第二論文では、第一論文の結果を使った解析を行い、住民が受ける追加積算線量を推定しし、また、除染が地域全体の個人線量の分布を全体として低減させる効果は見えない、と結論しています。(参照:福島県立医科大学)

 実際にどのような解析をしたのかをもう少し詳しくみてから、なにが問題となっているかを検討していくことにしましょう。

 伊達市では、2012年7月から2013年6月には全市民を対象に、ガラスバッジによる個人線量測定を行いました。(参照:「全市民で取組んだ被ばく線量測定-伊達市健康福祉部健康推進課」、「だて復興・再生ニュース第8号?2013年11月28日発行」)

 その前後の期間でも、全市民ではないものの測定を行っています。その、個人毎の住所と被曝量のデータと、航空機モニタリング調査による空間線量推定値を使って、空間線量推定値から対応する場所での個人被曝量を推定する方式を確立し、さらに、将来にわたる追加被曝線、また、除染が被曝線量に与える影響を見積もる、というのが第一および第二論文の内容です。

 第一論文については Science 誌に「Fukushima residents exposed to far less radiation than thought」なる記事が掲載されました。  また、週刊ダイヤモンドの2017/3/22の記事、「福島の被曝調査で分かった安全基準の過剰、除染の意義揺らぐ」では、第二論文の内容まで踏み込んで、

・現在、伊達市で空間線量が高い地域でも、生涯の被曝量もたいしたことはない。

・除染しても被曝量はさして減らない。 ということが「研究成果」として述べられています。そして、これはもちろん、 ・空間線量が高いところでも、実際の被曝は少ないんだから住んで問題はない。

・除染で空間線量が下がっても、被曝量は減らないんだから除染には意味がない。

という、非常に政治的な主張になっています。

指摘された問題点と早野氏の対応
 毎日新聞の記事によると、指摘された問題点は

a) 論文では、約5万9000人分のデータを解析しているが、約2万7000人分について本人の同意を得ていない

b) 論文の著者の一人が所属する福島県立医大の倫理委員会に研究計画書の承認申請を行う前の15年9月に早野氏が解析結果を公表している

c) 図の一部に不自然な点があり、「線量を過小評価するための捏造が疑われる

の3点であり、早野氏は、 (a) については「適切なデータを伊達市から受け取ったという認識で対応していた」(c)については「計算ミスがあり、線量を3分の1に過小評価していたとして出版社に修正を要請した」としているとのことで、(b) についてはノーコメントであるようです。

5391とはずがたり:2019/01/10(木) 09:51:09
 念のため、それぞれの点について、原資料ないしはなるべくそれに近いものをみてみます。まず、(a) です。

 約5万9000人分のデータを解析している、というのは、第一論文の表1に2012年第3四半期のモニタリング参加者について N=59056 と書いてあり、約59000人のデータを扱っていることは間違いないようにみえます。  同意を得ているかどうかについては、各メディアの報道によれば、測定に参加した5万8000人あまりのデータが提供されたが、同意しなかった97人と同意書が未提出だった2万7233人が含まれていたということです。



伊達市議会の公式動画からの髙橋一由議員の質問の部分を見ると、極めて信じ難い答弁がなされています。…

5ページ目の「研究方法」には

データベース化:伊達市における作業
 ○各個人へのID付与
 ○個人被ばく線量把握事業の全結果と施行日をIDごとのデータとして整理
 ○ID付与者の居住地を航空機による空間線量モニタリングの各メッシュと突合
 ○ID付与者世帯における除染時期の明示(A、Bエリアのみ)

 とあります。これと市担当者の答弁をあわせると、

・研究計画書には 同意を得た人のデータだけを使う、と書いてあるが実際にはそうなっていない
・研究計画書には、「ID付与者の居住地を航空機による空間線量モニタリングの各メッシュと突合」とあるが、実際には ? GIS化(すなわち、住所から緯度経度データへの変換)は市から早野氏に依頼している ? しかし、変換したデータを市は受け取っていない

 となります。

 市の担当者が間違った答弁をしているのでなければ、研究計画書に書いてあることとは異なり、「ID付与者の居住地を航空機による空間線量モニタリングの各メッシュと突合」したのは早野氏であるということになり、また、そのデータを市は受け取っていないのですから当然早野氏・宮崎氏に渡すことも不可能であり、論文は、研究計画書に記載された手順とは無関係に市から早野氏にGIS化依頼した際に渡されたデータを使って書かれているということになります。

…「適切なデータを伊達市から受け取ったという認識で対応していた」という早野氏の回答は、市の担当者の答弁とは矛盾するものです。

倫理審査通過前にデータが渡っていた!?
 (b)の「研究計画書の承認申請を行う前の15年9月に早野氏が解析結果を公表している」についても、OurPlanet-TV の12/10 付けの記事にあるとおりで、2015年9月13日の「The 12th dialogue on Sep 12-13, 2015」での早野氏の発表ビデオに確かに、このデータがなければ作成不可能な解析結果を示すスライドがあります。

 つまり、研究計画書に基づいた倫理審査をパスする前にすでにデータが早野氏に渡っており、さらに解析結果の発表もされてしまっている、ということです。この点について早野氏からコメントがないのは極めて大きな問題でしょう。

研究の質を疑うレベルの「計算ミス」
 (c) 図の一部に不自然な点があり「線量を過小評価するための捏造(ねつぞう)が疑われる」については、早野氏のコメントとして「計算ミスがあり、線量を3分の1に過小評価していたとして出版社に修正を要請した」とのことです。

 図の問題の指摘は 高エネルギー加速器研究機構(KEK) 名誉教授黒川眞一氏によるものが公開されており(参照:https://arxiv.org/abs/1812.11453)、これは宮崎・早野論文が掲載された雑誌に「コメント」として掲載予定であるとのことです。

 ちなみに、これは第二論文についてのものであり、生涯被曝量の計算がおかしい、との指摘です。おかしい点の詳細についてはここでは省略しますが、極めて初歩的なミスであり、意図的でなくこんなミスをするのは論外である一方、意図的にやったのであればあまりに下手なやり方であり、どちらにしても研究の質を疑わざるを得ないものです。

 早野氏が最終講義で語ったところによれば(参照: 早野龍五教授最終講義「CERNと20年福島と6年 ―311号室を去るにあたって」 ? 早野龍五 / 物理学)、 “…個別にはいろいろあるかもしれませんが、集団の生涯積算線量には、ほとんど寄与しないこともわかった。この論文も、今年出るUNSCEARの報告書に採用される予定だそうです。”

 とのことで、もしも3倍も間違った結果がUNSCEARの報告書に採用されてしまったなら大変なことです。

5392とはずがたり:2019/01/10(木) 09:51:32
>>5390-5392


報道を受けて発表された早野氏の見解にもさらなる問題が

 そして、この問題を受けて、早野氏も1月8日、文部科学省記者クラブに「伊達市民の外部被ばく線量に関する論文についての見解」を貼出し、“重大な誤りとその原因、意図的でなかったこと、今後の対応、伊達市の方々への陳謝など”(早野氏Twitter https://twitter.com/hayano/status/1082488374043103232より)の見解を表明しました。

 しかし、この「見解」には、極めて重大な問題がいくつも見受けられました。それだけで別記事をたてる必要があるほどのものですが、研究者の対応として最大の問題だけをあげると、論文としては同見解の「2.この誤りについて、2018年11月28日に、JRP誌に『重大な誤りを発見したので、Letterへのコメントとともに論文の修正が必要と考える』と申し入れ、2018年12月13日に、JRP誌より『修正版を出すように』との連絡を受けました」とあるものが最大の問題です。

「S. Kurokawa 氏からの問い合わせにも深く感謝申し上げます」と、黒川氏から雑誌編集部に送られている問題点を指摘するレター論文(参照: Comment on “Individual external dose monitoring of all citizens of Date City by passive dosimeter 5 to 51 months after the Fukushima NPP accident (series): II)を読んだことを明らかにしているにもかかわらず、そこで指摘されている問題点に対してまともに回答していないのです。

 黒川氏のレター論文では10箇所近い誤りが指摘されているにもかかわらず、早野氏の「見解」では、「3倍するのを忘れた」という1つだけを誤りとしており、それは黒川氏が指摘しているものではありません。 仮に黒川氏の指摘が誤りである、というなら、そのことを根拠をあげて説明することが研究者に最低限求められることでしょう。単に無視し、全く別のことを答える、というのでは研究者の論文に対する指摘への対応としておよそありえないことです。

事故発生後の早野氏の削除されたTweet
 以上、前半では問題となっている論文についての解説を行いましたが、後半ではその理解をより深めるため、早野氏の過去、特に2011年以降の活動を振り返ってみます。  早野氏は 2011年3月の東日本大震災とそれに伴っておきた福島第一原発の事故のあと、 twitter による情報発信で広く知られるようになった物理学者です。専門は原子核物理で、特に、「反物質」の実験的研究の成果で知られています。2008年には、「反陽子ヘリウム原子の研究」で、仁科記念賞を受賞しています。仁科記念賞は、日本の原子物理学とその関連分野でのおそらくもっとも権威ある賞です。

 Twitterでのフォロワー数は 2011/3/11 の2300程度から3/18には14万と爆発的な伸びを示し、 3.11 以降の twitter、あるいはネットメディアにおけるもっとも影響力のある物理学者となりました。

 ただ、私個人の印象としては、早野氏のTwitterでの発言は当初から福島第一原発事故の推移について、楽観的見通しを無責任に発信し、間違いが明らかになるといつのまにか修正する、というものでした。おそらく、そのようなスタイルこそが、多くの人に、「間違えることのない、信頼できる科学者」として受け入れられた理由になっているものと考えられます。

… 2011/3/12以降も早野氏は次々と間違った情報発信と過去の改竄を続けていましたが、それらの個別の指摘はさておくとして、まずは問題となった論文について、そして黒川氏の指摘について、なぜこのようなことが起きたのかが明らかになることを望みます。  多くの被災者に大きな影響を与えた論文にあった多くの「誤り」だけに、「見解」を文科省記者クラブに貼出し、Twitterに画像をポストする、ということでは済まない問題なのです。

<文/牧野淳一郎> まきの じゅんいちろう
●神戸大学教授、理化学研究所計算科学研究センターフラッグシップ2020プロジェクト副プロジェクトリーダー・学術博士。国立天文台教授、東京工業大学教授等を経て現職。専門は、計算天体物理学、計算惑星学、数値計算法、数値計算向け計算機アーキテクチャ等。著書は「シミュレーション天文学」(共編、日本評論社)等専門書の他「原発事故と科学的方法」「被曝評価と科学的方法」(岩波書店)


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