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電力・発電・原子力スレ

4197とはずがたり:2017/03/08(水) 15:24:21
>>4196-4197
?契約を結ぶことになった原因は、S&Wの損害がオフバランスの隠れ債務だったためだと思われる。オプション契約で発生する支払いは「偶発債務」なので、普通はバランスシートに出てこない。WHの債務は、S&Wとの訴訟で計算した結果である。

?ここにも落とし穴があった。オプションや先物などの「デリバティブ」は、日本では金融業界の特殊な商品だが、アメリカではよく使われる。オプションは一定の確率で発生するので、行使した場合の影響額だけを決算で(注記事項として)開示する。

?だからS&Wの帳簿上の赤字は、それほど大きく見えなかったと思われる。工事が遅れている間に発生する毎日のコストは普通に建設が続いていた場合とそう変わらず、それが何倍も長い期間かかるだけだからだ。

・・・という説明を読んでも、ほとんどの日本人には訳が分からないだろう。このようにすべて契約で決め、その損失を数学的に計算するのはアメリカ社会の特徴で、日本では、契約書には「不測の事態が生じたときは甲と乙が誠意をもって協議する」などと書かれているだけだ。この契約社会との「文化的ギャップ」が事件の大きな原因だろう。

?オプションは普通は行使されないので、保険と同じだ。火災保険をかければ、どんな大きな火災になってもすべて保険会社が支払う。そういうリスクを計算した上で、詳細な契約を結ぶのが世界の常識である。

?しかし日本人は問題は善意と話し合いで解決すると思っているので、オプションが行使されると驚く。東芝で巨額の損失が出たのは原発事故という不運のせいだが、こういう契約をめぐる国際的トラブルは多く、ほとんどの訴訟で日本側が負ける。


会社という「入れ物」はビジネスに必要か

?2006年にWHを買収して事件の原因をつくった西田厚聡社長(当時)は、日本の経営者には珍しくハイリスクの事業に打って出るタイプだった。WHをライバルの三菱重工の2倍の価格で買収したことは、当時としては悪い判断ではなかった。2000年代には地球温暖化対策として原子力が注目され、「原子力ルネサンス」といわれたからだ。


?しかしハイリターンの事業はハイリスクである。原発事故で、規制も市場も大きく変わった。日本の民主党政権は原発をすべて止め、アメリカでもNRC(原子力規制委員会)は原発の規制を強化したため、建設中の原発も大幅な設計変更が必要になった。だがカリスマ的な西田社長の指名した後継者は、彼の路線を見直せなかった。

?このときアメリカの電力会社はベンダーにリスクを負わせたが、それは隠れ債務だったので、WHの経営者も知らなかった可能性がある。東芝の経営者は日本のように電力会社がリスクをすべて負うと思っていたのだろうが、巨額の減損が出てから間違いに気づいても遅かった。

?東芝は半導体部門の企業価値を2兆円以上と見積もっており、その売却によって東芝という会社は生き残れるだろう。残るのは原子力部門だけで、東芝は実質的にアメリカの会社になる。それは経営者にとっては不幸なことだが、社員にとってはどうだろうか。

?白熱電球メーカーの東京電気が重電メーカーの芝浦製作所と合併してできた東芝は、今では世界にも珍しいコングロマリット(多角化企業)である。原発から洗濯機まで製造する企業が、すべての部門で利益を上げることはできない。

?東芝の発明したフラッシュメモリの技術は世界のトップで、外資が喜んで買うだろう。会社をだめにしている無能な経営者を追放し、日本の優秀な技術者とアメリカの優秀な経営者を組み合わせれば、半導体も原子力も成長分野だから雇用は日本に残る。会社という入れ物にこだわらなければ、日本が成長できる余地はまだ大きい。

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