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電力・発電・原子力スレ

3181とはずがたり:2015/12/22(火) 21:33:14
徹底したインドの「企業不信」

「インドの住民運動の激しさは他国の比ではない」と大手商社幹部は解説する。根底にあるのは、徹底した「企業不信」だ。

 1984年12月、中部マディヤ・プラデーシュ州のボパールにある米ユニオン・カーバイド社の化学工場が爆発し、殺虫剤原料になる猛毒のイソシアン酸メチルガスが噴出。当初は市民2000人以上が即死、約20万人が負傷と伝えられたが、その後死者は約3800人に膨れ上がり、約60万人が健康被害を受けたとされる。現地の汚染除去はいまだに進まず、後遺症などを含む死者は2万人を超えるとの推計値もある。

 1989年にユニオン・カーバイドはインド政府と4億7000万ドルの賠償金支払いで和解したが、被害者が増え続けたために補償金の受取額は1人あたり2万5000ルピー(約4万5000円)と激減したうえ、呼吸器障害や感覚の麻痺など後遺症に悩まされている住民は多く、怒りと不満は蓄積されたままだ。

 インドの裁判所は1991年に刑事訴訟の再開を認め、事故直後にいったん逮捕したもののその後国外に逃亡した、当時のユニオン・カーバイドCEO(最高経営責任者)ウォーレン・アンダーソンの身柄引き渡しを米国政府に求めた。しかし、送致は実現せず、アンダーソンは2014年9月に92歳で死去した。「インド人の命を安く買い叩いた男」として、アンダーソンの名は人々の記憶に焼きついているという。

「あまりに高コスト」

 不十分な補償や汚染除去で禍根を残した「ボパールの悲劇」だが、一方で、企業に対する厳格な責任追及を定める法整備が進んだ。その1つが、2010年に成立した原子力損害賠償法。事故の際の賠償責任を原発の運営会社だけでなく設備・装置のメーカーにも求める内容で、インド国民の強い「企業(特に外資)不信」を反映している。2008年に米印原子力協定が結ばれているにもかかわらず、米原発大手のウエスチングハウス(WH)やゼネラル・エレクトリック(GE)が進出に及び腰なのも、この“インド版原賠法”が理由とされる。

「地震や津波の頻度が日本並みのインドの原発プロジェクトに、東芝や日立、三菱重工が飛びつくとは思えない」と重電業界に詳しい大手証券アナリストは指摘する。

 いまや世界市場で原発受注に躍起になっているのは、国家ぐるみで至れり尽くせりのサービスを提供する中国、ロシアと、破綻に瀕して事業継続に四苦八苦しているフランスのアレバくらい。3.11で顕在化した事故リスクだけでなく、アレバのEPRやWHのAP1000など「3.5世代」と呼ばれる高スペックの最新鋭原子炉の建設が行き詰っていることに加え、このところの原油安や再生可能エネルギーのコスト低下など原発ビジネスに対する逆風は一段と強まり、先行き不透明感は増すばかりだ。

 今年10月、米バージニア州法務局は、米電力大手ドミニオンが同州にあるノースアナ原発で進める3号機の建設計画を放棄するよう勧告した。同社が採用を決めていたGE日立ニュークリア・エナジー社(GEが60%、日立が40%出資する合弁会社)製の革新型単純化沸騰水型原子炉(ESBWR、出力150万キロワット級)が「あまりに高コスト」であることが理由としている。

 8月にオバマ政権が打ち出した二酸化炭素(CO2)排出量削減のための「クリーン・パワー・プラン」(CPP)を受け、全米各州は個別のCO2削減計画をまとめたが、その過程でバージニア州企業委員会(SCC=State Corporation Commission)が既存の火力発電所の代替電源を確保するためのコストを試算したところ、ノースアナ原発3号機は19 億3000万ドル(約2400億円)の建設費に加え、稼働後の電力料金も現状より25%値上がりするとの結果が出たのだ。SCCの報告を受けた同州法務局消費者協議会は、「天然ガスや太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電コストをはるかに上回る」として、ドミニオン社に米原子力規制委員会(NRC)から受けている建設許可の返上を求めた。


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