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チバQ
:2015/05/10(日) 21:15:04
http://mainichi.jp/select/news/20150511k0000m030041000c.html
シリア:反体制派が巻き返し ISに「漁夫の利」も
毎日新聞 2015年05月10日 19時58分(最終更新 05月10日 20時38分)
【カイロ秋山信一】内戦が続くシリアで、反体制派が国際テロ組織アルカイダ系「ヌスラ戦線」と連携し、北西部イドリブ県や南部ダルアー県でアサド政権への攻勢を強めている。政権優位の戦況を覆したいサウジアラビアやトルコが、反体制派のてこ入れを図ったとの見方が強い。一方、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)にとっては、「漁夫の利」を得やすい状況になっている。
「戦争には勝利もあれば敗北もある。必要な時は撤退することもある」。シリアのアサド大統領は今月6日、内戦で死亡した政府軍兵士の遺族らと面会し、こう述べた。イドリブ県の病院で反体制派勢力の攻撃を受けている部隊にも言及し、「間もなく援軍が着くはずだ」とも述べた。
アサド大統領が個別の戦況に言及するのは異例だ。海外メディアで政府軍の劣勢が伝えられていることを念頭に、「(現況に)不満を持つことは敗北の始まりになる。精神的な敗北は命取りになる」と支持者を鼓舞した。
政権側が危機感を抱く背景には、3月以降の反体制派の躍進がある。イドリブ県では、欧米と距離を置くイスラム主義勢力主体の「ファトフ(征服)軍」が3月に結成され、県都イドリブを政権側から奪取。ヌスラ戦線や、親欧米の反体制派武装組織「自由シリア軍」なども協力し、大統領一族の出身地ラタキア県への進攻を図る。
ダルアー県でも4月、親米反体制派勢力を結集した「南部戦線」やヌスラ戦線がヨルダン国境のナシブ検問所を制圧した。同検問所は政権側が保持するヨルダンとの唯一の主要ルートだっただけに大きな戦果となった。
これまで反体制派は組織が乱立し、統一した指揮系統がないため、ISや政権側に対して劣勢だった。ファトフ軍や南部戦線は、有力組織が結束すれば政権側に対抗できることを実証した。
反体制派の糾合を後押ししたとみられるのが、サウジとトルコだ。両国は反体制派の主要支援国だが、サウジは世俗派、トルコはイスラム勢力と近く、支援国の違いが反体制派内の派閥争いを生む一因となってきた。
1月に即位したサウジのサルマン国王は、アサド政権を支援するイスラム教シーア派国家イランや、既存の支配体制を否定するISとの対決を念頭に、穏健なスンニ派が主流の中東諸国との連携を重視している模様。3月にはトルコのエルドアン大統領と会談するなど、連携強化を図っているとみられる。
一方、シリアの西側でアサド政権と反体制派の攻防が激化しているのに乗じて、東側を支配するISは勢力拡大を狙っている。4月に首都ダマスカス近郊のヤルムーク地区の一部を制圧し、政権中枢近くで軍事作戦を展開する力を見せた。ヨルダン国境の南部スウェイダ県でも攻勢に出ている。
エジプトのシンクタンク・アハラム政治戦略研究所のヨスリ・エズバウィ氏は「サウジの新体制は、親イラン勢力との対決を優先課題に据えている。トルコと連携したシリア反体制派への支援強化もその一環だ」と指摘している。
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