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戦闘休止、苦渋の歩み寄り 「米国の圧力」払拭に腐心―イスラエル
2023年11月10日20時32分
【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザを地上侵攻しているイスラエルは9日、激戦地となっている北部から南部への住民退避の促進を理由に、同日から1日4時間の戦闘休止を受け入れた。ガザを実効支配するイスラム組織ハマス壊滅を目指して民間人の犠牲をいとわない攻撃を続け、「戦争犯罪」批判をよそに好戦姿勢を貫いてきたネタニヤフ首相にとっては、苦渋の歩み寄りと言える。ただ、一時的な休戦が実現しても、ガザの人道危機の悪化に歯止めがかかる見通しは立たない。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は9日、ガザ北部でイスラエルが戦闘の一時休止を始めると突如発表。発言が伝わると、イスラエル首相府は直ちに「戦闘は続く。(ハマスがガザに連行した)人質が解放されない限り停戦はない」と従来の立場を踏襲する声明を出し、態度軟化の否定に走った。
イスラエル政府は今月初旬から連日、ガザ北部に残る住民に南部への避難を指示。ガザを南北に貫く幹線道路の通行を午前10時から4〜6時間限定で許可していた。このため、地元メディアは、今回合意された「戦術的かつ局地的な戦闘休止」は、これまでの措置の延長線にすぎないとする政府高官の発言を引用。イスラエル側の方針転換ではないとの見方を報じた。
しかし、イスラエル最大の支援国である米国はかねて、市民の安全な退避や人質解放を可能にするため3日間の戦闘停止を求めてきた。バイデン大統領やブリンケン国務長官が電話会談や直接協議で粘り強くイスラエル側の説得を続けた末の合意であり、米国の圧力に屈したとの印象は拭えない。
極右政党党首のベングビール国家治安相はX(旧ツイッター)で、合意について「深刻な過ちだ。(戦時内閣という)限られた面々に戦闘休止を決める権限はない」と苦言を呈した。ネタニヤフ氏と連立を組む対パレスチナ強硬派を中心に、政権内部で反発が高まりかねない状況だ。
ハマスの奇襲を防げなかった失態などで辞任要求にさらされるネタニヤフ氏から、合意について国民への説明はないまま。口をつぐむことで弱腰批判や責任追及をやり過ごしたい思惑もあるとみられる。
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