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スーフィズムに関するHP
2881
:
チバQ
:2020/03/02(月) 19:41:09
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202002/CK2020022902000135.html
<イランはいま 揺れるイスラム体制>(下) 政府の威信 撃墜で失墜
2020年2月29日 朝刊
1月14日、イラン・テヘランで抗議デモに参加する人々=ゲッティ・共同
写真
イランは現在、ペルシャ暦の新年ノウルーズを前にした師走。日用品を新調する買い物シーズンだが、活気があるとは言い難い。
首都テヘランの洋服店主ホセインさん(40)は、売り上げが米制裁前の三〜四割減と嘆く。「経済低迷への抗議の意志を込めて、投票には行かなかった」。二十一日の国会議員選の投票率は過去最低の42%。世俗的な市民が多いテヘランに限れば、わずか26%だった。
高い投票率でイスラム体制の正統性を示す思惑は外れた。最高指導者ハメネイ師は二十三日、欧米メディアが新型コロナウイルスの感染拡大を報じて「投票を妨害しようとした」と言い繕った。指導部が恐れるのは、くすぶる不満の矛先が体制側に向かうことだ。
イランでは二〇一八年五月に米政権が核合意離脱を表明し、原油の全面禁輸などの制裁が科されて以降、反政府デモが頻発。昨年十一月にはガソリン価格値上げに抗議するデモが、タブーだったハメネイ師批判に発展し、治安部隊が弾圧。国際人権団体は三百人超が死亡したと報告した。
一定程度の「ガス抜き」を容認しつつ、体制の威信を傷付けるような言動は武力で封じ込める。確かにこうしたデモは限定的で、本格的な政権打倒運動のうねりにはなっていない。だが今年一月に精鋭軍事組織の革命防衛隊がミサイル誤射でウクライナ旅客機を撃墜した事件は様相を一変させる可能性がある。
政府は当初、ミサイル撃墜との指摘を「技術的な問題」と退け、三日後になって誤射を認めた。その間、革命防衛隊は事実を把握してハメネイ師に知らせる一方、ロウハニ大統領ら政府高官は蚊帳の外に置いて隠蔽(いんぺい)を図った。
首都中心部にある最高学府テヘラン大学。撃墜事件を受けて構内で開かれた追悼行事は、隠蔽に抗議するデモに発展した。企画した男子学生(26)は匿名を条件にぶちまけた。
「犠牲者を追悼していただけなのに治安部隊に鎮圧された。イランは共和制を放棄し、指導者と防衛隊の体面を守るための国になってしまった」。犠牲者の知人によると、遺族は埋葬に立ち会えず、地元メディアは情報統制されて犠牲者の話題をほぼ報道しない。
いまやイランでも規制を逃れて衛星放送が見られ、若者は会員制交流サイト(SNS)で世界とつながっている。制裁のツケが庶民に押しつけられる一方、反米を旗印に求心力を維持しようとする体制側の狙いは見透かされている。
米国との対立が長引く中で、母国に見切りを付ける人も増えている。旅行ガイドの男性(55)はドイツへの移住を計画。「イラン・イラク戦争に行った。もう戦争は嫌だ」と言う。通訳業の女性(32)は「表現の自由など最低限の権利すら保障されない」と今春には隣国トルコに出国し、単身で欧州を目指すつもりだ。
女性は少し寂しそうに言った。「家族も友人も愛している。でも、国を尊敬できない」 (テヘランで、奥田哲平)
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