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スーフィズムに関するHP

2779とはずがたり:2019/10/14(月) 16:23:54
>>2778
また1970年代半ば、ハサカ県、ラッカ県、アレッポ県の国境地帯に居住していたクルド人約10万人が、形式的にはモデル農村都市を作ることを目的として、土地や財産を奪われて強制移住させられた。公共機関でのクルド語も禁止された。

2000年に発足したバッシャール・アサド政権は2011年のアラブの春に始めるシリア国内で始まった抗議デモをかわす狙いもあってクルド人の待遇改善を試みた。2011年に外国人への国籍付与を認める政令を出し、制度的差別解消の姿勢を示したのだ。しかし、アサドの思惑があっての改革であり、実際に国籍取得を申請した人も、国籍を回復した人もそれほど多くなかったという。

2012年にシリア内戦で疲弊したアサド政権はトルコ国境地帯から軍部隊や国家機関を撤退させた。複数あるクルド政党の中でもYPGとその政党クルド民主統一党(PYD)が力を持ち、2014年に西クルディスタン移行期民政局(ロジャワ)として暫定自治政治体が発足した。

シリアの一般のクルド人にとってのYPGの評価については正直、筆者にはよくわからない。イスラム国からの攻撃から人々を守るなど比較的住民の支持も高い組織だとも言われ、評価する声もよく聞く。一方で子どもを徴兵していたり、そもそもYPGを批判する人はその地域に住んでいない可能性もある。

YPGはアサド政権とは消極的な協力関係にあるとも言える。アサド政権の目的は反体制派を倒すこと、YPGの目的はクルドの統治を進めること。目的が異なるため、お互いの存在を黙認している部分があるのだ。

このトルコの攻撃はアサド政権にとって好都合に動くとも言われている。クルドは、トルコよりもましだとしてアサド政権やまたロシア政府に援助を要請するだろう。YPGが支配している地域にアサド政権は影響力を及ぼせることになるからだ。

◆今後、何が起こりうるのか?
すでに述べた通りまずは多くの難民、避難民が発生するだろう。

またイスラム国の活動が活発化する恐れもある。

イスラム国の戦闘員、その家族の多くはクルド支配地域で拘束されている。1万2千人のイスラム国元戦闘員と5万8千人の家族がいる。米軍が撤退し、これまでイスラム国兵士の管理を担当してきたシリア民主軍(SDF)が攻撃を受けたり、戦力が対トルコに向けられ警備が手薄になれば、戦闘員が逃亡する恐れもある。多くのイスラム国戦闘員家族を抱えるアル・ホールキャンプではイスラム国戦闘員の妻らがナイフや石でキャンプの警備を攻撃しているという映像も出回っている。

10月12日には'''カミシリで自動車爆弾'''が爆発した。誰による犯行かはまだわかっていないが、イスラム国の可能性もありうる。

トルコ の攻撃は今に始まったことではない。さらに西にあったクルド人支配地域アフリンはすでに2018年3月、トルコ軍に侵攻され今も、トルコの支配下にある。

◆なぜこの事態を止められないのか?
トルコのこの侵攻に対してヨーロッパ各国には強く出られない理由がある。難民問題だ。エルドアン大統領は、ヨーロッパがこの軍事作戦を「占領」というのであれば、ヨーロッパに難民360万人を送り込むと言っている。

アメリカはYPGに肩入れしたが、もともとクルド人勢力の地位向上を支援しようとしていたわけではない。アラブ人の反体制派が次々と過激派と合流したり、力を持たなかったため、消去法としてYPGと手を結んだだけの理由なのだ。

すでに多くの一般の住民が犠牲になり、このままでは今後も増える続けることになる。

伊藤めぐみ
ドキュメンタリー・ディレクター
1985年三重県出身。2011年東京大学大学院修士課程修了。テレビ番組制作会社に入社し、テレビ・ドキュメンタリーの制作を行う。2013年にドキュメンタリー映画『ファルージャ 〜イラク戦争 日本人人質事件…そして〜』を監督。第一回山本美香記念国際ジャーナリスト賞、第十四回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞奨励賞を受賞。その他、ベトナム戦争や人道支援における物流などについてのドキュメンタリーをNHKや民放などでも制作。2018年には『命の巨大倉庫』でATP奨励賞受賞。現在、フリーランス。イラク・クルド人自治区クルディスタン・ハウレル大学大学院修士課程に留学中。


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