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スーフィズムに関するHP
2454
:
チバQ
:2018/08/15(水) 19:07:40
経済手腕を評価する声は少なくない
今後の状況を予想する前に、エルドアン大統領の人物像や、最近のトルコ経済の動向を簡単に見てみよう。エルドアン大統領は2002年の総選挙で自らが率いたイスラム系の公正発展党(AKP)を勝利に導いた後、トルコが堅持してきた政教分離の世俗主義を捨ててイスラム化を推進。また、欧州連合(EU)への加盟が実現しない中、中東諸国や中国などとの関係を深め、欧米を重視したトルコの伝統的な外交姿勢も修正してきた。
アラビア文字表記の廃止や、脱イスラムなどエリート主導で西欧に追随することを目指した建国の父ムスタファ・ケマル・アタテュルク初代大統領率いる共和人民党によってトルコの民衆は信仰を制限されるなどして抑圧されてきた。これに対して、エルドアン氏は大衆に寄り添うポピュリスト的な指導者として、主に低所得者層から絶大な支持を集めている。
エルドアン大統領は、世俗主義の守護者だった軍の影響力を弱め、2017年4月の憲法改正により、儀礼的な立場だった大統領に実権が集中する大統領制への移行を実現し、独裁色を一段と強めた。政権に批判的だったメディアには圧力が掛けられ、ソーシャルメディアでも監視の目が厳しくなっている。エルドアン大統領は、強力な指導力を発揮して、トルコの前身であるオスマン帝国のような強国の復活を目指しているのではないかとささやかれる。
もっとも、経済手腕を評価する声は多い。2008年のリーマンショックによる世界的な経済危機では停滞したものの、中東・北アフリカ最大の経済規模を持ち、G20メンバーの有力な新興経済国として有望な投資先として経済成長を遂げてきた。共和国建国100周年の2023年までに世界10大経済国入りを目指している。
経済は2016年のクーデター未遂で一時的に落ち込んだが、好調な消費や設備投資に支えられて今回の通貨ショックまでは堅調に推移してきた。最大都市イスタンブールは膨張を続け、国際空港などの巨大インフラ整備事業が進んでいる。
トルコ全土でインフラ開発を進めるエルドアン首相の経済政策は、田中角栄元首相の「日本列島改造論」と重なる。開発が遅れてきたシリア国境に近いトルコ南東部にまで高速道路が延び、地中海沿岸の保養地には高級ホテルが林立、欧州やロシアなどから観光客が降り注ぐ太陽を求めて訪れている。
「金利は諸悪の根源だ」と主張
今回のリラ相場の下落とも関係するが、建設業を経済発展の主軸に据えるエルドアン大統領は「金利の敵」を自称している。エルドアン大統領としては、金利を引き上げずに内需を喚起することを最大の経済戦略と位置付け、対外投資を呼び込みたい考えとみられている。
イスラム主義者と目されるエルドアン大統領はまた、「金利は諸悪の根源だ」とも主張している。利子を取って金銭を貸すことを禁止しているイスラムの教えに沿い、「金利を悪と見なしているのではないか」(トルコ専門家)との説が有力だ。
さらに懸念されるのがエルドアン大統領の独裁化傾向だ。マーケットが期待しているのは、迅速に金利を引き上げてリラ相場を安定させることだが、6月の再選後、財務相に娘婿を起用する情実人事を行っており、「忖度」が働いて中央銀行の独立性が揺らいでいるとマーケットは受け取っている。7月24日の金融政策決定会合では、市場の予想に反して政策金利を据え置き、リラ売りが再燃した。もはや、エルドアン大統領が辞任するのが最も効果的との声も上がっている。
このままの事態が続けば、危機は世界に広がりかねない。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ路線に舵を切ったことで、新興国通貨は対ドルで軒並み下落して経済の先行きに暗雲が垂れ込めている。過去の新興国発の通貨ショックのように、トルコ発の危機が世界的に連鎖するのではないかとの不安を呼んでいるのだ。
トルコの2017年の経常赤字は国内総生産(GDP)の5.6%に達し、外資依存度が高いことがトルコ経済のアキレス腱ともいわれる。この数字は、キプロスを除いて経済協力開発機構(OECD)諸国では最も高い。今回のリラ急落は、欧州への影響が大きい。リラの対ドル相場は、年初からの下落率が50%近くに達している。
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