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スーフィズムに関するHP

2070とはずがたり:2017/08/20(日) 20:14:10
>>2069-2070
カタールが比較的取り組みやすいのは、同胞団の問題だろう。前回2014年の危機の際にはカタールが同胞団幹部7人を追放することでサウジなどの駐カタール大使が復帰して危機はいったん収まった。

トルコ・イスタンブールは、エジプト当局の弾圧を受ける同胞団の一大拠点となっているが、そこで活動するエジプト人ジャーナリストによると、カタールには現在も少ないながら依然として同胞団関係者がとどまる。カタールは、同胞団のみならず、エジプトのシシ政権と対立する野党勢力の拠点にもなってきた。カタールはこれまでのところ、サウジ側の要求が過大であることから、同胞団関係者の追放に抵抗しているという。

カタールは同胞団に活動の場を提供するとともに、アルジャジーラを通じて同胞団がイスラム世界に影響を与えることを認めてきた。大国サウジなどの周辺国に翻弄(ほんろう)されかねない小国カタールは、民衆から一定の支持を集める同胞団などの「政治イスラム」に肩入れすることで中東での政治的な影響力を強めようと試みた。

しかし、こうした「政治イスラム」の伸長は、独裁主義的な旧来型国家の、親米政権として欧米の庇護を受けながらの存続を脅かすことにもなる。同胞団を警戒するサウジやエジプトが、同胞団の影響力をそぐのが今回の断交の目的の一つだが、大局的にはカタールを湾岸協力会議(GCC)の中での属国的な立場に追いやろうとするのが狙いだ。

首長家内対立利用し、指導部入れ替え狙う?
カタールの属国化を狙っているとしたら、サウジやエジプトなどの要求が、カタールが国家主権を事実上譲り渡さなければ、達成できないような内容となったのも当然だ。ロンドン発行の汎(はん)アラブ紙アルクッズ・アルアラビの編集長を長く務めた評論家、アブデル・バリ・アトワン氏は筆者とのインタビューで、「サウジなどはカタールの体制転換を狙っている」と語った。カタールの「政治イスラム」を援護する政策を根本的に見直させるため、タミム首長率いる指導部を総入れ替えする体制転換の可能性が浮上してきたとの見方を示した。

アトワン氏は、「カタールの体制内では路線をめぐる対立が存在する。サウジ側はタミム首長に反対する勢力に肩入れすることで体制の転換を図ろうとしているようだ」と分析する。1995年には、カタール皇太子だったハマド前首長(タミム首長の父)が、外遊中だった父ハリファ首長(当時)を退けて首長の座を奪取した無血クーデターが起きている。カタールの首長家内は必ずしも一枚岩ではなく、タミム首長を交代させることで事態の打開が図られる可能性もあるという。

断交や経済的な封鎖、さらなる対カタール孤立政策によって、カタールを政治、経済的に追い詰めることでタミム首長体制を自壊させるのか、軍事力の行使を警告したり、実際に実力行使したりすることによって体制転換が強制的に実行されるのか、現時点で予測するのは困難だ。カタール外交筋は「今回の危機は単なる口約束だけで事態を乗り切るのは困難だろう」と危機の深刻さを認めている。このため、数年単位の持久戦となるとの予測もある。

池滝和秀(いけたき・かずひで)
時事総研客員研究員、在英ジャーナリスト
1994年時事通信入社。外信部、エルサレム特派員、カイロ特派員、外信部デスクを経て、エジプトにアラビア語留学。2015年8月より現職。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院修士課程(中東政治専攻)に在籍中。


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