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スーフィズムに関するHP

2058とはずがたり:2017/08/06(日) 11:16:55
>>2057-2058
カタール前首長の暗殺計画
だが今回の断交の発端は、それ以前の1995年まで遡る。その年、カタールの皇太子だったハマド(タミムの父)が、外遊中だった無能の父ハリファを退けて首長の座を奪ったのだ。

カタールで起きた宮殿クーデターを目の当たりにしたサウジアラビアとUAEは、湾岸諸国の王制の安泰を揺るがす危険な前例として、ハマドの失脚を画策した。

当時カタールに駐在していた外交筋によれば、2国は数百人の部族民に対してハマドと彼の2人の兄弟、および外相とエネルギー相を暗殺するよう命じ、ハリファの復権を狙った。

UAEは、攻撃用ヘリコプターや戦闘機を待機させるほどの力の入れようだった。だが作戦の数時間前に部族の1人が寝返ったため、暗殺は実行されなかった。

こうした因縁を思えば、タミムが両国に対して疑心暗鬼になるのも無理はない。

カタールは人口約200万人(うちカタール国籍はざっと10分の1)という小国なのに、なぜそれほど重要なのか。カタール在住の外国人にとっても、なかなか実態は掴みにくい。夜のドーハでライトアップされた高層ビル群は壮観だが、ビルの中はしばしばガラガラ。だが1人当たり国民所得は世界一高い。天然ガスの埋蔵量は世界3位で、輸出先はイギリスから日本まで幅広い。アメリカの中東最大の空軍基地であるアルウデイド空軍基地もカタールにあり、アフガニスタン戦争やイラク戦争でもここから戦闘機が出撃した。今はISIS(自称イスラム国)掃討作戦の出撃拠点になっている。

2013年に首長の座を譲り受けた37歳のタミムは、今も前首長である父の影響を受けながら国を統治する。恐らくタミムが最優先するのは、イランの機嫌を損ねない程度にアメリカと上手く渡り合うことだ。カタールの急速な経済成長を支える天然ガスのほとんどは、イランとシェアする沖合のガス田に眠っている。カタールはイランを上回る量の炭化水素資源を生産している手前、イランをへたに刺激したくないはずだ。

アメリカは、この一触即発の状況を静めるうえで重要な役割を果たせる。米政府関係者は、イランとの敵対関係と天秤にかけると、カタールの状況に首を突っ込むのは割に合わないと内心思っているかもしれない。だが、サウジアラビアとカタールの対立が長引いたり、カタールがイランと手を組まざるを得ない状況に追い込まれたりすれば、誰の利益にもならない。

その点、レックス・ティラーソン米国務長官は交渉に適任だ。ティラーソンが最高経営責任者(CEO)を務めていた米石油大手エクソンモービルは、カタールのエネルギー分野で最大の外国企業。カタールの意思決定者の面々を熟知しているはずだ。

想定外の中東危機
サウジアラビアとUAEは、現在アルウデイド空軍基地に駐留する米軍が自国の基地に移すよう誠意を見せようとしているようだ。だが2国とも、自分たちが言うほど条件を満たしていない。

サウジアラビアは国内のイスラム過激派の掃討を進めていた2003年に、米軍をプリンス・スルタン空軍基地から追い出したことがある。UAEにはすでにアメリカのタンカーが寄港し無人偵察機が配備されているが、アルウデイド空軍基地に取って代わるほど完全な設備のある軍司令部を完成させるには長い年月がかかるだろう。

カタールとの国交断絶にどう対応するかで、トランプ政権の力量が試される。わずか2週間あまり前にリヤドで開催された首脳級の会合で集合写真を撮った時、UAEアブダビのムハンマド皇太子はカタールのタミムを押しのけてトランプの右隣に立った。

サウジアラビアとUAEは国際政治の舞台でそれと同じことをやろうとしている。中東に火種はいろいろあるが、まさかこんな危機が訪れるとは、トランプも助言されたことはないはずだ。

(翻訳:河原里香)
From Foreign Policy Magazine


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