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スーフィズムに関するHP

1852とはずがたり:2017/04/05(水) 22:09:49

サルマン国王訪日のさなかである3月13日。東京都港区にあるアラブ イスラーム学院で、「ビジョン2030と日サ友好関係に関する有識者メディア交流会議」が開催された。席上、参加者には、「ビジョン 2030」と題された小冊子が配布された。まるで業績不振企業がしばしば開催する、証券アナリストやメディア向けの"中長期経営計画"説明会資料に似ていると感じた。

ビジョン2030が描く近未来のサウジは次のようなものだろう。簡単にまとめると、(1)石油依存度の低下、(2)産業発展による雇用の創出、(3)観光業の発展(メッカ小巡礼の呼び込み)、(4)物流拠点整備、(5)経済特区設置による海外からの直接投資、(6)国民の技術教育や職業訓練の強化、だ。

最初は英国、次は米国に依存してきた

「日本を東アジアにおける重要なパートナーとして、投資や産業発展、開発、人材育成への協力を期待している」(サウジ有識者)。サウジ勤務経験者によると「サウジ人には産業、技術、職業訓練が圧倒的に足りない」という。何を学んでいるかといえば、「イスラム教、クルアーンの暗記中心」が実態のようだ。この現状を変えて、技術、職業訓練を重視するというだけでも、大きな変化だろう。サウジから日本への留学生はまだ500人と、10万人規模といわれる欧米と比べて圧倒的に少ないが、これから理工医系を中心に増やす方向である。

ビジョン2030を語る場合、現在のサウジの歴史と構造を語らないと、その画期性はわからない。

現在のサウジは1932年に成立した第3次サウジアラビア王国だ。その起源は1744年、王家を代表するサウド家と、イスラム教スンニ派ハンバリー法学に属する戒律に厳格な宗派であるワッハーブ派が、盟約を結んで成立した王国である。歴代王家とワッハーブ家は婚姻を繰り返してきた。ワッハーブ派は、イラン・イラクに広がるシーア派への敵意と憎悪をばねに、教義を形成した。ワッハーブ派からみれば、シーア派はイスラム教の原理から逸脱した存在だ。したがってサウジとイランの和解は困難だ。

さて、第1次、第2次サウジアラビア王国はともに、軍事力と宗教的情熱が合体し、アラビア半島征服戦争に乗り出す。そのまま進めば、現在のイラク南部から湾岸諸国(クウェート、UAEなど)、オマーン、イエメンまでもが、王国に併合されたはずだ。ただ2回とも、当時の強国であるオスマン帝国やエジプトに阻止された。この教訓から第3次サウジアラビア王国は、征服地をヒジャース(メッカ、メディナがある聖地)とハサー(東部地方、油田があり、シーア派住民が多数)であきらめ、世界強国に従って、安全保障を依存する政策に転換する。最初は英国に依存し、現在は米国だ。

ただし、ワッハーブ派の建前は世界布教なので、アフガニスタンや中央アジアなどに教義と資金をワンセットにして、宣教師を送り込む。サウジの富豪、オサマ・ビンラディン率いるアルカイダも、こうした成果だろう。

国内をワッハーブ派の教義で鎖国し、国民を監視・教育しながら、米国に安全保障を依存。片や世界に布教するという離れ業を、政治的手腕、カネ配り、気配りでこなしてきたのが、サルマン国王の前の国王である、名君・アブドゥッラー国王だった。が、現在のサウジは、アルカイダや派生のIS(イスラム国)など、イスラム過激派とは絶縁を宣言している。

サウジはレンティア国家の代表国でもある。レンティア国家とは、国民から税金を取らず、逆にいろいろな名目で配る国をいう。サウジ被雇用者の70%は公務員とされるが、サウジの大臣は「1日1時間労働」と実態を語っている。それで平均月収2400ドルというから、うらやましい限りだ。電力、ガス、ガソリンなど公共料金も非常に低い。

こうしたレンティア国家の行き詰まりが見えている現在、ムハンマド副皇太子の改革・開放路線を大胆に予想するならば、下記のようになろう。


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