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スーフィズムに関するHP

1599とはずがたり:2016/08/05(金) 16:44:33
>>1597-1599
政権の脅威となったギュレン派

 だが、13年12月、ギュレン派は、今度は政権中枢の汚職を暴こうとした。エルドアン大統領の子息、側近の閣僚の汚職暴露に動いた。激怒したエルドアン首相(当時)は、即座に警察官や検察官の配置換えを断行したほか、事件に関与した人々を罷免するという強硬策に出た。これ以後、ギュレン派はテロ組織とされ、徹底的な排除の対象となった。

 エルドアン大統領は、ギュレン派が「諸刃もろはの剣」であることを思い知らされたのである。一方で政治性のない社会活動を行い、他方では政治の深部に介入する。メンバーシップのないギュレン派は、権力側からみたときに、とらえどころがなく、中枢部にさえ打撃を与えうる脅威と化していた。

 今回のクーデター未遂で、反乱軍の首謀者が誰で、何の意図で暴挙に出たかが明らかになる前からギュレン派によるクーデターという筋書きができていたのは、エルドアン政権がこの宗教指導者のフォロワーを徹底的に敵視していたからである。

元参謀総長の「警告」

 逮捕された将官級の軍人は、口をそろえて「クーデター計画はギュレン派によるものだと思う。だが自分はギュレン派ではない」と主張している。

 その一方で、かつてクーデターを企てたとして、ギュレン派の警察、検察に逮捕された軍のイルケル・バシュブー元参謀総長が、7月16日の各紙とのインタビューで興味深い指摘をしている。

 自分と将官たちが根こそぎ逮捕された09年当時、「今は自分たち(軍部)だが、明日はあなた方(政権)に刃が向かうと言ったはずだ」というのである。ギュレン派はいずれ政権に刃を向け、今回のようなクーデターが起きることを警告したものと受け取れる。

 今回のクーデター未遂事件の首謀者とされる軍人たちは、09年当時に逮捕された軍幹部の部下である。彼らが上官を逮捕、訴追した相手のギュレン派に同調するかどうかには疑問も残る。だが、バシュブー元参謀総長は、長い時間をかけてギュレン派は軍内部に浸透していたと指摘しているから、少数にせよ、彼らが軍のなかで政権打倒の機会をうかがっていたのかもしれない。

 ただし、エルドアン政権を敵視していたのは、ギュレン派だけではない。伝統的な軍の世俗主義者や国家主義者もまたイスラム主義を強めるエルドアン大統領には敵対的である。現段階では、首謀者がギュレン派将校であったとしても、残りは政権に対する不満をもつ軍人をつなぎ合わせて反乱勢力を形成し、犯行に及んだとみるのが妥当ではないだろうか。

プロフィル
内藤正典( ないとう・まさのり )
 1956年生まれ。東京大学大学院理学系研究科地理学専門課程(博士課程)中退、博士(社会学)。一橋大学教授を経て2010年より同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。著書に『トルコ 中東情勢のカギをにぎる国』(集英社)、『となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代』(ミシマ社)、『欧州・トルコ思索紀行』(人文書院)、『イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北』(集英社新書)、『激動のトルコ 9・11以後のイスラームとヨーロッパ』(明石書店)などがある。


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