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スーフィズムに関するHP

1347とはずがたり:2016/01/04(月) 20:17:24
イランの「国際社会復帰」がもつインパクト
ところが、以上の関係は、この数年で変化の兆しを見せ始めています。米国とイランの緊張が緩和したことと、ISに対する国際的な包囲網の形成が緒に就いたことは、その典型でした。

このうち、米国とイランの緊張緩和に関しては、昨年7月に成立したイラン核合意があげられます。イランが核開発を抑制(停止ではない)することと引き換えに、米国などが経済制裁を段階的に撤廃する取り決めは、ペルシャ湾で高まっていた軍事的緊張を緩和しただけでなく、西欧諸国にとっては「イランの核弾道ミサイルの脅威」からの解放の希望をもたせるものでした。それだけでなく、この合意は長く対立し続けてきた米国とイランの関係改善の転機としても注目されたのです。

核合意は、イランにとって、いわば「国際社会への復帰」の象徴にもなりました。イランはWTO(世界貿易機関)に加盟していない国のなかで、最大の経済規模をもちます。経済制裁の解除にともない、イラン政府はWTO加盟に前向きな姿勢をみせるなど国際市場に本格参入する兆しをみせ、日本企業も昨年後半から相次いでイラン進出を目指し始めていました(ただし、WTOドーハラウンドそのものが昨年12月に次回開催を決定しないまま閉幕したことで、一部からは「安楽死」とさえ呼ばれる状態にある)。

ところが、サウジアラビアはこの合意が「譲歩しすぎ」であると批判。この点に関しては、パレスチナ問題などをめぐって立場が大きく異なるイスラエルと同じ立場に立つことになりました。

シリア情勢をめぐる不協和音
サウジにとって、イランが欧米諸国と対立し、「干される」状態の方が好ましいことは確かです。その意味で、イランの「国際社会復帰」に警戒感を強めるとともに、これを進めた欧米諸国なかでも米国への不信感が募ったことは、想像に難くありません。

同様のことは、シリア情勢とIS対策についてもいえます。昨年11月13日のパリ同時テロ事件以降、フランス政府はIS対策のために、米ロを結び付けることを試みています。これにより、9月末から既にアサド政権を支援する形で、IS以外の反アサド勢力に対しても空爆を行ってきたロシアの国際的認知は、結果的に向上したことになります。それは、ロシアやアサド政権と連なるイランにとっても、悪い話ではありません。

しかし、これはサウジにとって、IS対策とは別の次元で面白くない話です。先述のように、シリア内戦の当初、サウジなどとともに欧米諸国は、「アサド政権の退陣こそ内戦終結に繋がる」と主張していました。しかし、状況の変化とともにヨーロッパ諸国はアサド政権の容認に舵を切りつつあり、米国としても難しい判断を迫られています。

このような環境のもと、核開発問題だけでなくシリア情勢なども念頭に、米国がイランとの関係を見直し始めたことに、以前からサウジは警戒感を強めていました。2013年10月にサウジが、選出されていた国連安保理の非常任理事国のポスト就任の辞退という異例の行動に踏み切ったことは、その象徴でした。つまり、欧米諸国から敵視され、排除されていたイランの立場が好転したことは、入れ違いにサウジの危機感につながり、欧米諸国なかでも米国に対して不快感を隠さなくなっていたといえます。

米国とサウジの隙間風
先述のように、イランが欧米諸国と関係を改善し、国際社会に復帰するだけでなく、シリア情勢をめぐってロシアとともに影響力を増すことは、サウジにとって警戒すべきことです。なかでも、対イラン強硬派という点で一致していた米国のシフトは、サウジにとって認めにくいものです。

一方で、米国のサウジ離れは加速しているようにもみえます。先述のように、サウジは世界最大の産油国であり、長年米国はその最大の顧客でした。しかし、昨年12月に米国は40年ぶりに原油を輸出することを発表。これは、いわば米国がサウジにエネルギー戦争を挑んだものともいえます。


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