ロシア軍、アサド政権のシリア政府軍、イラン系のシーア派の軍隊(イラン系民兵団とレバノンのヒズボラ)が、合同してシリア第2の都市アレッポを攻略し、ISIS(イスラム国)やアルカイダ(ヌスラ戦線)といったテロリストから奪還しようとしている。シリア政府軍とシーア派が地上軍としてアレッポに進軍し、それをロシア軍が空爆で支援する。アレッポ周辺は、東側をISIS、西側をヌスラなどアルカイダ系の諸勢力が支配している。アレッポの南隣の県であるイドリブでも、攻防戦が起きようとしている。 (Syria Launches Offensive Against Rebel Areas Around Aleppo) (Military Expert: New Victories Underway in Syria)
アレッポを取り戻すことは、アサド政権にとって非常に重要だ。アレッポを奪還すれば、シリア西部の人口密集地(ダマスカス、ホムス、ハマ、アレッポ、ラタキアをつなぐ地域)の統治を回復できる。トルコ国境に近いアレッポ周辺を占領するISISやヌスラは、以前からトルコ当局の支援を受けている。トルコの諜報機関は、ISISなどを攻撃するふりをして強化してアサド政権打倒の道具に使おうとしてきた米国の戦略に協力し、ISISなどに武器や食料、資金を供給してきた。 (The Humiliation Is Complete: ISIS Fighters Cut Off Beards And Run Away As Russia, Iran Close In)
トルコ当局は、欧州や中央アジアなど外国からISISに参加するイスラム過激派がトルコ国内を通ってシリアのISIS本拠地に行くことも容認・支援してきた。トルコからISISやヌスラへの支援は、アレッポ周辺のトルコ・シリア国境を通じて行われてきた。シリア露イランの連合軍がアレッポを奪還すると、トルコ・シリア国境を占領していたISISやヌスラが追い払われ、トルコのテロ支援の補給路が切断される。ISISやヌスラは、トルコからの補給なしにやっていけない。その意味でも、アレッポ攻略はアサド政権にとって重要だ。 (地図:Syria - Russian and U.S. Air Strikes)