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スーフィズムに関するHP
1154
:
名無しさん
:2015/10/30(金) 23:27:42
>>1153
イスラム国の抱える反「近代性」
ISは近代以降の歴史の産物である既存の国境線を否定していますが、新たな「国家」として独立を宣言しています。その意味で、ISもやはり国家システムの存続を念頭に置いているといえるでしょう。
ただし、ISが想定する「国家」は、近代的なものとは大きく異なります。近代以降のヨーロッパでは、宗派や習慣にかかわらず、そこに暮らす人々の集合体を「国民」と捉え、それが国家のメンバーであると同時に主権者であるという概念が生まれました。
実際にはヨーロッパでも、言語の統一や、ユダヤ人迫害に象徴されるように、少数者が同化や抑圧の対象になりました。また、スコットランドのように、国家のなかの地域へのアイデンティティが強く残ることも珍しくありません。しかし、少なくとも理念としての「国民」は、宗派や習慣の違いを包含するものとして発達したのです。多くの国で、信仰や思想・信条が個人の内面の問題とされたのは、そのために欠かせない措置でした。
これに対して、ISの支配のもとでは、異教徒にイスラムのスンニ派への改宗が求められ、拒絶すれば奴隷にされたり、殺害されたりする事態が多数報告されています。つまり、ISではスンニ派ムスリムであることが、国家の「一人前のメンバー」としての条件になっているのです。これは近代以降に発達した、「個人の平等」や「他者との共存」を念頭に置いた「国民」概念より、狭い捉え方といえます。
イスラム国が示す「現代性」とは
ただし、反近代的な一方で、ISには現代的な側面もあります。ISに顕著な「他者との共存」を拒絶する傾向は、程度の差はあれ、現代世界で広くみられるものです。
「国民」概念が生まれたヨーロッパでは、2014年EU議会選挙で、移民排斥を訴える極右政党が躍進した一方、スコットランドなどで分離独立運動が高まりました。米国でも、人種や文化の違いに由来する殺人など「ヘイトクライム」が頻繁に発生する一方、富裕層だけが集まった自治体の創設が相次いでいます。これらは、「『自分たち』だけでやっていきたい」という「公的領域におけるメンバーシップの純化」を目指す動きで一致します。
この傾向は、以下のような変化を背景とします。
・1990年代以降、グローバルな市場経済化により、世界各地で貧困と格差が深刻化してきており、世界金融危機がこれに拍車をかけたこと、
・社会状況の悪化と不安定化にともない、「既存の国家システムで優遇されている(英国におけるイングランドなど)、あるいは逆にその負担となっている(ヨーロッパの移民など)」とみられる存在への反感や不満が増しやすい状況が生まれたこと、
・社会の亀裂が深まるなか、「理念としての国民」の信憑性が揺らいでいること、
・それと並行して、文化、宗教、人種などに、より「確実な」結びつきが見出され、その裏返しとして「他者との共存」が拒絶されやすくなること、です。
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