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スーフィズムに関するHP
1040
:
チバQ
:2015/08/25(火) 20:52:37
イスラム国支配地域には、政府側との戦闘や有志連合による空爆を恐れ、治安の良い自治区へ逃れる住民が多い。ムスリーも、脱出を手引きする業者に1500ドルの大金を支払ってイスラム国の監視をかいくぐった。「家族は後で呼び寄せるつもりだった」
サラヘディン県では今年、政府側のシーア派民兵などが攻勢を本格化させ、3月には要衝ティクリートを奪還している。同県内のイスラム国支配が縮小する中、実家が農業を営むムスリーは「農作物を売る先がなくなった」のだという。
「組織からすれば脱走した裏切り者ということになるのではないか」と尋ねると、意外そうに顔を上げ、しばらく考え込んでから「そうかもしれない」とつぶやいた。
「米国を愛してる」
キルクークで活動し07年に逮捕されたテロリストに「ドクター・ルアイ」と呼ばれたアラブ系イラク人がいる。医師として病院に勤務しながら国際テロ組織アルカーイダ系勢力に協力し、テロで負傷して運び込まれる患者に薬物を注射する手口で少なくとも43人を殺害した男だった。
ドクターが属した「イラクの聖戦アルカーイダ組織」は06年以降、何度か名を変え、現在は「イスラム国」と名乗っている。ムスリーがかつていた組織も、他組織との合従連衡を経てイスラム国に吸収された。
「どういうことか分かってもらえるだろうか」。キルクークのクルド治安機関で対テロ捜査を指揮し、ドクター逮捕にも関わった准将、シムコはこう問い掛ける。「イスラム国は急に現れたわけじゃない。われわれはこんな連中と10年以上、戦い続けているんだ」
イスラム国は全体的にはなお大きな勢力を維持しており、アンバール県やシリアでは支配地域も拡大している。しかし、身近な形勢が不利になったと判断したムスリーには、忠誠を誓ったときと同様、組織を離れるのに呵(か)責(しゃく)は感じなかったようだ。
ただ、ムスリーの説明からは、それはあくまでも生活のためであり、ジハード(聖戦)を放棄したからではないことが分かる。仮に今後、周囲でイスラム国や同種の組織が再び台頭した場合、ムスリーはいとも簡単に一線を越えるのではないか。
治安当局者らも立ち会ったインタビューでムスリーは「もうシーア派を憎んではいません。米国も愛しています」と言ってのけた。だが、その暗く据わった目の持ち主の言葉を信じる者は、その場にはいなかった。=敬称・呼称略
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