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2004年米国大統領選スレ
3030
:
名無しさん
:2016/02/11(木) 21:27:18
>>3029
アメリカでも縮小する「ミドルクラス」
その背景としては、実質賃金の伸び悩み、格差拡大、ミドルクラスの縮小、党派対立の激化、人種対立の再燃などの国内問題、そしてテロの恐怖から中東情勢の混乱、中国や北朝鮮による挑発を前にしたアメリカの威信の揺らぎなどの国際情勢がある。こうした難題が山積するなか、アメリカ人の7割近くが「アメリカは間違った方向に進んでいる」と感じている。オバマ大統領の支持率も約45%とさえないが、議会の支持率は約13%とかつてないほど低い。「既存の政治家にはもはや現状打破など期待できない」「ワシントン(=中央政界)は馴れ合いと既得権益の世界と化している」という閉塞感が「非主流派」への追い風となっている。
さらに言えば、「オバマ的なるもの」への反動もあるだろう。8年前に「1つのアメリカ」を掲げて当選したオバマ大統領は共和・民主両党の和合と妥協を求めたが、結果的に、双方の不満を高め、皮肉にも党派対立を深め、ワシントンの機能不全を招いた面もある。そうした理性的な歩み寄りの姿勢そのものが説得力を失い、むしろ旗幟を鮮明にし、「敵」と対峙する姿勢が歓迎されるムードが広がっている。
トランプは「反知性主義」なのか
共和党側の「トランプ旋風」は白人低所得者層(プア・ホワイト)の支持を原動力にしている。「移民を入国させないため、メキシコとの国境に万里の長城を作り、費用をメキシコにもたせる」「イスラム教との入国を禁止すべきだ」「大統領初日に中国を為替操作国に指定する」「TPPには反対」「富裕層への減税措置を撤廃する」「社会保障制度は守る」といった公約は「主流派」の主張から大きく外れるが、プア・ホワイトの心を勝ち取るものである。
そして、さらに大切なのは、過激な言動を繰り返し、ときに候補者討論会への参加を取りやめるなどの、ワシントンの政治家の常識を覆すトランプ氏の型破りの振る舞いがマイナスどころか「彼こそは大胆な変革をもたらしてくれる」とプラスに受け止められがちな点だ。主要メディアそのものが「旧弊したワシントンの一部」と見なされており、メディアがトランプ氏を叩けば叩くほど彼の支持率は高くなってゆく。
加えて、日本から「トランプ旋風」を理解するうえで忘れてはならないのは、トランプ氏がアメリカのビジネスマンの典型的な交渉スタイルを体現している点だ。例えば、はじめに大胆な条件を出す(つまり大風呂敷を広げる)ことでアジェンダを設定してしまい、そこから徐々に落とし所を探ってゆくという手法だ。あるいは、ときに交渉のテーブルは蹴っ飛ばして退席し、タフな交渉者であることを印象付けるという手法だ。
移民をめぐる発言や討論会への対応などはこうした(トランプ氏が慣れしたんできた)スタイルを踏襲したものであるとも考えられる。日頃、アメリカのビジネスマンと接点が薄い日本の学者や記者はトランプ氏を「反知性主義」の権化であるかのように描きがちだが、そうしたレッテルを貼ることこそ「反知性主義」かもしれないという自省は持っていて良いだろう(『トランプ自伝 不動産王にビジネスを学ぶ』(原題Trump: The Art of the Deal)、1987年)は参考になる)。
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