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食品産業総合スレッド

1843とはずがたり:2017/02/13(月) 16:32:55
>>1839-1843
?商社員時代は、アメリカ出張を繰り返し、農機具を売り歩いていた。安ホテルを転々として朝食はシリアル。「アメリカ人は、どうしてこんなまずいもので済ませられるのだ」と不思議でしようがなかった。

?ところがカルビーに入社して間もなく「フルーツグラノーラ」というシリアルがあることを知った。食べてみたら美味いではないか。どうしてこんな美味しいものが売れていないのか不思議でならなかった。ここがまたカルビーの不思議というか甘いところで、一度発売したものは休止にしないで、かといってテコ入れもせずにじっくりと持ち続けているのである。

?家族や友人に試食してもらった。朝の散歩に持っていって、公園にいる知人たちにも配った。そうしたら誰もが、「美味い」と言ってくれる。俄然、本気になった。担当者にその点を指摘すると、「外から来た素人が訳の分からないことを突然言い出した」と、まったく乗り気ではない。そこでCEO直轄にして商品を一から見直した。

?売るにはシナリオが必要だ。まず商品名を変えた。「フルーツグラノーラ」では長い。日本人はだいたい3〜4文字を好む。マクドナルドはマックだし、スターバックスはスタバだ。木村拓哉はキムタク。「ならばフルグラにすれば」と即決。

?その次は、誰に売るかである。売り場に置いてもらえれば誰にでも買ってもらえると考えるのは甘い。まずはマーケットセグメンテーションで、最終的に決めたのが「働く女性」たち。

?なぜなら彼女たちが一番困っているのが「時短」だったからだ。例えば横浜市在住で働く女性たちの36%は朝食を食べない。嫌いなのではない。食べる時間がないのだ。東海道線や田園都市線の沿線から通えば電車は混むし、時間もかかるので早く家を出たい。「時短をアピールしよう」と2つ目のシナリオができた。

?3つ目が「食物繊維と鉄分」。フルグラは、オーツ麦や玄米などの穀類が主原料だ。その食物繊維としての特性で便秘を防ぎ、鉄分が多いのは貧血の多い女性にもよいのではないか。

「よし、これでやってみよう」と指示を出すと同時に、流行に敏感であるが故に流行離れも早い女性の後に狙うターゲットへの対策が急務だと感じていた。そこで据えたのが50歳以上の中高年だ。キーワードは「減塩」で、「血圧上昇を抑える」だった。

?いわゆる高血圧症と認定された日本人は4000万人いるそうだ。和食は美味しいが、和風の朝食を一食摂ると塩分は4.5グラムある。しかしフルグラならば牛乳やヨーグルトと混ぜて食べても0.5グラムだ。「減塩朝食」というキャッチコピーを前面に出すことにした。

?ところが売り出すと、中高年でも実は時短が大きな購買理由であることが分かってきた。中高年も朝には、あまり時間をかけたくなかったのだ。

?次は男性、そして子どもマーケットへとフルグラを浸透させていく。2011年にフルグラと改称してから売上は急増している。16年3月期には、フルグラは前期比80億円近く売上を増やして223億円になった。定番商品としての地位を固めようとしている。私は2020年前に500億円商品になると確信している。カルビーの成長を牽引する古くて新しい商品だ。

?実はフルグラの取り組みでは、従業員に知ってもらいたいことがあった。なんでも宣伝費をかけたりすれば売れると思っている。もちろん宣伝費を使ってもかまわないが、もっと大事なことがある。

?ビジネスはお金を遣うよりも頭を使う方が絶対面白い。このことを、カルビーの従業員に理解してもらうケースとして、フルグラは実践の材料だ。

(カルビー会長兼CEO?松本晃)


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