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化学・薬品産業総合スレッド

2035とはずがたり:2018/11/02(金) 11:29:57
>>2034
 いかに少量で物性を向上できるとはいえ、物性に影響を及ぼすだけカーボンナノチューブを混ぜると、元の素材の値段をはるかに超えてしまうほどの価格になってしまうからだ。

 カーボンナノチューブは、パイプ状の壁一つの単層カーボンナノチューブと壁が複数重なった多層カーボンナノチューブがある。

 単層カーボンナノチューブが性能的には優秀であるが、価格があまりにも高かった。

 そこで、単層カーボンナノチューブの安価な製法の研究開発がなされてきた。

 日本でも日本ゼオンなどの企業が参加するNEDO主体の国家プロジェクトで、単層カーボンナノチューブの廉価製法の開発がされてきた。

 このプロジェクトは決して失敗したわけではない。

 従来製法に対し、3000倍の成長効率で、長さも500倍の単層カーボンナノチューブを製造できるようになった。

 かつて、1グラムで数万円した単層カーボンナノチューブは、1グラムあたり1000〜2000円程度まで安く作れるようになった。

 さらに、この単層カーボンナノチューブの純度はロシアのカーボンナノチューブを凌ぐ。

 しかし、ロシアのOCSiAl社は、金属の粉の上に単層カーボンナノチューブを成長させる技術を開発し、1グラムあたり300円で単層ナノチューブを製造できるようになった。

 純度は日本の単層ナノチューブより低いが、価格は3分の1以下である。

日本の単層カーボンナノチューブにとって残念なことに、現時点で単層カーボンナノチューブが期待されている用途では、純度はそこまで求められていない。

(もっとも、純度は日本製の方が優れているので、純度が要求される電子部品のような用途が開発されれば、日本製カーボンナノチューブの価値は急上昇する)

 単層カーボンナノチューブを混ぜ物として用い、強度、電気の流れやすさ、熱伝導度を上げるには単層カーボンナノチューブが存在し、機能してくれていればよい。

 不純物が多少混じっていても、こうした性質に必ずしも悪影響がない。

 リチウムイオン電池の性能向上でも、OCSiAl社の単層カーボンナノチューブ程度の不純物ではそれほど問題がないようだ。

 OCSiAl社の単層カーボンナノチューブは、1グラム300円での供給体制が整いつつある。

 一方、日本製ではそこまでの低価格での供給ができそうにない。現時点では、ロシアの単層カーボンナノチューブが日本のカーボンナノチューブに勝利したと言える。

 ロシアは日本の素材産業の3分の1以下の価格で、同じ価値のある素材を提供することに成功した。日本の研究開発も高度だったが、ロシアの研究開発は更に高度だったのだ。

 ロシアの製造業や技術の平均点は必ずしも高くないのだが、よくよく探すと日本の水準をはるかに超える技術が存在することもある。これがロシアの面白さである。

ロシアから優れた製品が次々に出るか

 では、ロシアから日本の製品を凌ぐ製品が次々に出てくるかというと、そうはならないであろう。

 仮に優れた技術があっても、実用化されなければ意味がない。

 ロシアは工業の規模が小さく、多様性も乏しい。せっかくの新技術があっても、ロシア国内では活躍の場を見つけることが困難である。

 新技術が使う側といい出会いを実現するということは、ロシアでは起こりにくい。

 また、自動車のように多種の技術が組み合わさってできる製品では、一定以上の水準の技術と品質の部品がそろって初めて商品になる。

 ロシアは、そうした意味でのバランスは非常に悪い。単層カーボンナノチューブにしても単体では商品にならないため、商品化には他の技術との組み合わせが必要である。

 しかし、ロシアはOCSiAl社のカーボンナノチューブのように世界最高水準の技術が、ポツポツと見つかる国であるのも事実である。

 日本は産業化、商業化が得意であるので、こうしたロシアの技術を発掘し、実用化するようなことをすれば、優れた日露協力になるのではと思う。


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