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鉄鋼・非鉄金属スレッド

53とはずがたり:2004/05/15(土) 22:37

供給側、需要側にきちんと物申すための統合

――JFEスチールに焦点を当てた話もお聞きしたいと思います。やはり当面のライバルは新日本製鐵ということになるのでしょうか。

グローバルプレーヤーとして確固たる地位を築くために、JFEはつくられた。それを実現するのがわれわれの責任だと考えています。新日鐵を追い抜くどうこうではありません。

製鉄業をはさむ需要側と供給側は、いずれも寡占化、グローバル化が進んでいます。鉄鉱石など原料の供給側はおおよそ3つのグループに集約されています。需要側も例えば自動車メーカーは合従連衡が進み、グローバルでの力を持っている。

ところがその間にいる鉄の生産者は、いまだ林立している状態です。JFEが発足したといっても、世界全体のシェアを大きく占めるわけではない。ですが供給側、需要側にきちんと物をいえる立場にならないと、健全な企業として成長はできない。その立場を目指すのがJFEであり、製鉄業が本質的に担うべきことをきちんとできるようにしたい。担えるようになれば、顧客ニーズへの世界規模での対応も可能になると考えています。

この目的を達するため、財務目標を定めています。JFEスチールは2005年度で経常利益2300億円、ROS(売上高経常利益率)11%です。端的にいいますと、財務目標を達成できる、収益を挙げられる組織づくりのために、どんな人材を育成すべきかということが大きなテーマとなっています。

高収益を持続できる組織を支える人材を育てる

――人材育成で力を入れて取り組むべきポイントは、どういう点だと認識されていますか

一つはやはり経営目標を達成できる人材、経営を執行できる人材をいかに計画的に育成していくかということです。そのためには若い時期から経営者の感覚を持って意思決定できることが大事だと思います。人材配置と、人材育成制度による支援をどう組み合わせていくかを考えていきたいです。

――ある種のリーダー候補の選抜をされるということでしょうか。

そうです。もう一つは、これから議論の必要がある部分ですが、社員全体の基礎力を上げることも考えたい。例えば技術系の社員では、全員が製造部長や研究部長などライン管理職になるわけではない。専門スタッフとしてしっかり技術を持つ人も必要です。事務系でもどこに出て行っても恥ずかしくないだけのビジネススキルを持った人たちが、組織構成員として存在しなければ、トップだけが走ってもあとはついてこないということになりかねません。社員の基礎的な専門能力を上げ、コンプライアンスを徹底する仕組みも充実させたいですね。そのことが収益を生み、財務目標を達成するだけにとどまらず、それを持続できる組織づくりにつながると考えています。

製鉄所の集中立地はコスト低減に貢献

――JFEスチールとして期待する統合の効果は、どんなものがありますか?

研究開発については、両社の研究所が一緒になったのですが、例えば薄板の研究担当者は両方にいたわけです。ところがテーマがダブるものは意外に少ない。もちろん同じ部分もありますが、細かく調べていくとそうではない部分がたくさんあります。重なり合う部分は人を減らせばいいわけですが、重ならない部分はお互い評価し合ったうえで伸ばすことができます。一社では一部しかできなかったが、統合で違う見方の研究者と一緒に仕事ができる。それがいい製品に結び付き、利益に結び付くはずだと、楽しみにしています。

もう一つは、鉄というものはすべてを高付加価値の独自製品だけが占めるわけではない。一般材もたくさんあります。そこでの勝負はコスト競争力です。JFEスチールが恵まれているのは、千葉と京浜の東日本製鉄所、倉敷と福山の西日本製鉄所と、製鉄所が近接し立地していることです。JFEにおける「地の利」は、低コスト化に大きく貢献してくると思います。

立地が近ければ製鉄所ごとの人の交流や設備の再編もやりやすくなります。例えば100の能力を持つ製造ラインを2つ持っていて、これまではそれぞれが75%しか稼働していなかったとします。2ラインのうち1つを止め、1ラインに集約して150%の能力を出せるようにすれば、コストは大幅に削減できる。物流などの統合も近いからこそ進められる。既に各種の取り組みを始め、大幅な低コスト化が図られていますが、さらに人的な交流が進み、両社がもっていた「ソフトのノウハウ」が共有化されれば、さらなる低コスト化、効率化につながっていくはずです。

プロフィール 荒木 逸治(あらき・いつじ)


JFEスチール(株)労政人事部企画室長。1979年、NKK(日本鋼管株式会社)に入社。技術開発本部人事室課長、人事部企画グループマネジャーなどを経て、2003年4月のJFEスチール発足から現職。


(2003年7月3日掲載)


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