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鉄鋼・非鉄金属スレッド

1639とはずがたり:2017/02/13(月) 01:06:52
中国はまだ鉄を使う?
 2008年に粗鋼生産量が5億トンを超えたところで中国政府は鉄鋼の生産能力が過剰だと判断し、2009年に作った産業政策では生産能力の拡張を抑え込み、2011年まで粗鋼生産を5億トン程度に抑える方針を決めた。その時点では鉄鋼生産能力が6億6000万トンあったので、どうしたって1億トン以上の生産能力が過剰だ、だからその分は生産設備を廃棄しなければならない、と中国政府は認識していた。

 ところが、結果から見ればこうした情勢判断は誤っていた。中国の鉄鋼消費量は2009年以降も急ピッチで伸びたので、生産もそれに合わせて伸び、2011年の粗鋼生産量は7億トン、13年には8億2200万トンになった。実際に起きたことは生産能力の縮小ではなく拡大だった。2009年の産業政策は大手国有鉄鋼メーカーに業界を集約する方針を打ち出したので、大手は金融支援を受けて生産能力を拡張した。一方、中小の民間メーカーも需要拡大の波に乗って積極的に投資を行った。結局、2015年時点での粗鋼生産量は8億トン、鉄鋼生産能力は12億トンもの規模になった。

図1 人口一人当たり見かけ鉄鋼消費量(kg/人 粗鋼換算)
http://tohazugatali.web.fc2.com/industry/graph.gif

 こんどこそ大変深刻な生産能力過剰で、過剰能力の整理は待ったなしだ、と誰しもが思っている。だが、これはそう簡単に判断を下せるほど単純な問題ではない。図1を見ると、日本、ドイツ、アメリカでは一人あたりでみて今の中国よりかなり多くの鉄鋼を消費していた時期があったことがわかる。図1には載せていないが、韓国の一人あたり見かけ鉄鋼消費量は世界トップで、2015年には1114kgだった。これは韓国が自動車や船舶など鉄鋼を使った製品を大量に輸出していることと関係している。つまり、ある国が鋼材を輸出する場合、その鋼材は「見かけ鉄鋼消費」には含まれないが、自動車や船舶などに加工したうえで輸出すると、その生産に投入された鉄鋼はその国で「消費」されたことになる。1990年代前半に日本の一人あたり鉄鋼消費量が650〜800kgと多かったのも、同じ理由で説明できるだろう。

 中国では過去数年の間に高速鉄道などのインフラが相当整備されたし、ビルやマンションもいっぱい建ったが、まだ都市化が進展する余地があると思うし、中国は機械や金属製品など鉄鋼を使う製品の輸出国でもある。これを考えると、2014年以降、中国の一人あたり見かけ鉄鋼消費量は2年連続で減少したものの、もうこれでピークが過ぎたと即断することはできないように思う。現に2016年は見かけ鉄鋼消費量が2015年より1%程度増加した模様だ。

業界大手ほど非効率
 2015年は中国の鉄鋼業にとって試練の年だった。国全体の粗鋼生産量は2.3%減少し、多くの鉄鋼メーカーが赤字に陥った。ただ、「冬の時代」であればこそ経営効率の良い企業と悪い企業の違いが鮮明に現れる。2015年に各社の粗鋼生産量が増えたか減ったかによって中国の主要鉄鋼メーカーを勝ち組と負け組に分けてみた。するとかなりはっきりした傾向が見えてきた。

 ここで「勝ち組」とは2015年に粗鋼生産量が前年に比べてプラス成長をした企業を指す。「負け組」とは、2015年に粗鋼生産量が5%以上減少した企業を指す。中国全体の粗鋼生産量はこの年2.3%減少したので、減少幅が0〜5%であれば業界全体の傾向と似たり寄ったりだと言える。そこでこれらは「引き分け」ということにした。

 分析の結果、次のことがわかった。

1.大手が大きく負け越し、中堅が大きく勝ち越した。
 粗鋼生産量でトップ11社(大手)と、それ以下の39社(中堅)に分けると、大手は1勝7敗3分であったの対し、中堅は18勝5敗15分であった。

2.国有企業は負け越し、民営企業は無敗だった。
 上位50社のうち国有企業が26社、民営企業は24社だったが、国有企業は7勝12敗7分、民営企業は12勝0敗12分だった。


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