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鉄鋼・非鉄金属スレッド
1592
:
とはずがたり
:2016/11/08(火) 13:13:23
例えば、2005年に出された「鉄鋼産業発展政策」では上位10社の粗鋼生産量を2010年までに全体の50%以上に、2020年には70%以上に高めるという目標を定めています。2009年に出された「鉄鋼産業調整・振興計画」ではさらに一歩踏み込んで、宝山鋼鉄、鞍山・本渓鋼鉄、武漢鋼鉄などを生産能力5000万トン以上の巨大メーカーに育てることでトップ5社に生産能力の45%以上を集中する一方、一定規模以下の小型メーカーを淘汰するとしています。2015年3月に出された「鉄鋼産業調整政策(改定案)」でも、2025年までにトップ10社の粗鋼生産量を全体の60%以上にすることを目標としています。
今年9月下旬に宝山鋼鉄(宝鋼集団)と武漢鋼鉄(武鋼集団)との合併が発表されました。この2社は粗鋼生産量で世界5位と11位を占め(表1参照)、中央政府直属の大型国有鉄鋼企業の代表格です。両者の生産量を単純に足し合わせれば世界第2位の巨大鉄鋼メーカーが誕生することになり、中国は鉄鋼産業の集約化という目標に向かって大きな一歩を踏み出したといえます。
世界の鉄鋼トップ企業と粗鋼生産量(百万トン)
http://tohazugatali.we
b.fc2.com/industrymarukawachart1610111325.jpg
鉄鋼メーカーを巨大化した方がいいと考えられる要因としていくつか考えられます。もともと製鉄の高炉は大きいほど生産効率が高いという規模の経済性がありますし、世界の鉄鉱石の供給者が寡占化しているので、需要者である鉄鋼メーカーも大きい方が交渉上有利です。また、中国政府としては産業が少数の大企業によって支配されている方が、生産能力の調整などを行いやすいと考えていると思います。国外でも合併によってアルセロールミタル、新日鐵住金、JFEスチールなど巨大鉄鋼メーカーが形成されており、中国もそうした潮流に乗り遅れたくないという心理も働いていると思います。
中小のほうが効率的
しかしながら私は、大型国有企業の巨大化を促進し、中小鉄鋼メーカーを淘汰するという中国政府の産業集約化政策は根本的に誤っているのではないか、整理・淘汰されるべきは中小メーカーではなく、むしろ大型国有鉄鋼メーカーではないかと思っております。生産能力の過剰が前から問題になっていたにもかかわらずいっそうひどくなっているのもこの政策のせいではないかと思います。なぜ誤っているのかというと、大型企業のほうが経営効率が高いという政策の前提が中国の鉄鋼業では成り立っていないからです。
実際、鉄鋼メーカーへの産業集約化を目指して中国政府が旗を振り続けているにも関わらず、中国の現実はむしろそれとは逆の方向に進んでいます。表2に見るように中国の鉄鋼トップ10社が中国の粗鋼生産量に占める割合はここ5年で顕著に下がっているのです。
表2 中国のトップ10社が粗鋼生産量に占める割合
2011年 49.2%
2012年 45.9%
2013年 37.8%
2014年 36.6%
2015年 34.3%
なぜこうなるのでしょうか。それは大型鉄鋼メーカーのほうが中小鉄鋼メーカーよりも経営効率が悪いからです。重点鉄鋼企業(すなわち大型鉄鋼企業)とそれ以外の鉄鋼企業(すなわち中小鉄鋼企業)とでROA(総資産利潤率)を比べてみると、2013年には重点鉄鋼企業が0.5%、それ以外の鉄鋼企業は7.7%と大きな差がありました。これはこの年たまたまそうなったというのではなくて、一貫して大型鉄鋼企業の利潤率は中小鉄鋼企業を大幅に下回っています(表3)し、売上高利潤率など経営効率に関する他の指標をとってもやはり大型鉄鋼企業のほうが成績が悪いのです。
大型企業は大きな高炉を持っているし、それ以外の生産設備も大規模で効率が高いはずなのに、なぜ利潤率が中小企業よりずっと低いのでしょうか。一つのありうる説明は、中小鉄鋼企業がコストを節約するために排煙や排水を適切に処理しておらず、公害と引き換えに低コストで生産しているという説明です。これはたしかに生産設備が小さくて生産効率が低いはずの中小鉄鋼企業が大企業よりも高い利潤率を上げられる理由の説明にはなるでしょう。ただ、それならば政府は排煙や排水の適切な処理を厳しく義務付けて監督することに専心すべきであって、大型企業の巨大化を促進するような政策は不要だと考えます。
業界平均より低い稼働率
もう一つの説明は、大型国有企業に特有な経営の非効率性のために利潤率が低くなっているという説明です。私が国有鉄鋼メーカーを調査して回っていた20年前は、どの企業も膨大な余剰人員を抱えていました。例えば、鞍鋼集団では社内で実際に鉄鋼生産に当たっている従業員は一部にすぎず、多くの従業員は社員向け住宅の管理といったような間接部門や福利部門にいました。また、首鋼集団は野放図な多角化を行った結果、従業員向けのお酒や缶詰の工場まで持っていました。さすがに今はもう少しましになったかもしれませんが、それでも大型国有鉄鋼メーカーの非効率性を示すデータはいろいろあります。
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