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鉄鋼・非鉄金属スレッド

1534とはずがたり:2016/04/22(金) 13:10:17
>>1533-1534
高まる“中国主犯説”

 ただ国内経済の低迷をカバーするため加速させた輸出攻勢が、世界の鉄鋼価格の暴落を招いた。

 それは中国の鋼材輸出金額をみれば明らかだ。

 増える輸出量に反して輸出金額は、14年が33・0%増の708・4億米ドル、15年が11・3%減の628・3億米ドルと減少。この間、単価は26・0%も下落した。

 齋藤氏は「輸出でマージン(利益)が確保できていれば良いのだが、15年の鉄鋼企業の税前利益は67・9%減と全くの不振」と輸出攻勢の成果を疑問視する。

 一方、この輸出攻勢で世界の鉄鋼価格は大きく下落。これが日本をはじめ世界の鉄鋼メーカーの収益に逆風を吹かせている。原料の鉄鉱石価格も下落。原料を供給する資源国の景気にも悪影響を与えている。

 鋼材価格の下落などで、欧州の鉄鋼大手アルセロール・ミタルは15年7〜9月期の欧州事業が営業赤字となり、韓国の鉄鋼大手ポスコも15年12月期の連結最終損益が初の赤字に転落。いまや世界各国の業界関係者から“中国主犯説”の批判が高まっている。

雇用=政権への支持

 なぜ、このような事態を招いてまで中国は輸出攻勢を続けるのか?

 その理由を、齋藤氏は「問題の根本は、中国国内の鉄鋼の供給能力過剰問題にある」と説明する。

 中国ではリーマン・ショック後の世界的景気低迷への対応策として、08年11月に4兆元規模の景気刺激策を発動。粗鋼生産能力は08年の6・4億トンから13年には11億トン超に急拡大された。

 しかしその後、鉄鋼だけでなく、造船やセメントなどさまざまな業界で生産が過剰ぎみとなり、中央政府は、老朽化した旧式設備の更新も進める方針を打ち出した。李克強首相は今年1月、「腕を切る覚悟で過剰設備を解消せよ」と発言。業界“淘汰”に踏み切る大号令をかけた。それは同時に、「中国の生産過剰が世界市場を混乱させている」とする海外からの批判をかわす狙いもあるとみられる。

 しかし、この中央政府の大号令とは裏腹に、過剰設備の解消は失業の大量発生につながりかねないとして地方政府や企業の抵抗が根強く、その実現性には疑問がつきまとう。

 齋藤氏も「中央政府は鉄鋼の設備淘汰目標を毎年掲げては『達成できた』と胸を張るが、それは多くの場合、単なる一時休止にすぎない。全国レベルで見れば淘汰の対象となる旧式設備でも、その地方にしてみれば、雇用面などで重要な意味があるためだ」と解説する。

 つまり労働者の味方として誕生した共産党政権にとって、労働者の解雇につながるような旧式設備の更新などは実際に踏み切れていないというのだ。

 さらに齋藤氏は「旧式設備スクラップ化による供給過剰の解消は、『言うは易し、行うは難し』の典型」と手厳しい。

 その言葉通り、昨年12月の中国の国務院常務会議では、3年以上赤字が続くなど生産能力過剰業種の企業について、閉鎖破産などの方法で処分し、17年末までに企業の赤字額の著しい減少を目指すとしたが、実際には、すでに政府当局者が今後の処分は「救済合併」を中心とし、できる限り閉鎖破産は採用しない“最後の手段”とする旨も明言している。

 齋藤氏は「供給過剰問題に大胆にメスを入れることが困難なのは『安定した雇用=共産党政権への支持』を損なう可能性があるため。ここに中国が抱える大きなジレンマが浮かび上がる」とし、世界経済に迷惑が及んでも「鉄鋼の“たたき売り”は、まだ続きそうだ」と言い切る。


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