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国際経済学

902とはずがたり:2016/03/08(火) 12:32:20
>>901-902
そこへ金融引き締めなら、中国は一段と景気が悪くなる。いわばG20は中国の景気悪化を犠牲にしても、人民元相場の維持を求めた形である。

短期的には自国の輸出を不利にしないために正解だったとしても、中期的には中国の崩壊が巡り巡って世界経済と自国の景気悪化を招くのだから、自分で自分の首を締めるようなものだ。

外貨制限のウワサも漂う

当の中国はどう認識しているかといえば、中国人民銀行がG20閉幕直後の2月29日、預金準備率を引き下げたところに本心がにじみ出ている。預金準備率の引き下げは銀行が中央銀行に強制的に預ける預金を減らして融資に回せる資金が増えるから、金融緩和になる。つまり中国当局は緩和が必要と分かっている。

G20は為替介入して人民元相場を維持せよと求めたが、緩和は逆に人民元下落に働く。実際、預金準備率引き下げ発表後、人民元は一段と下落した。これをみても、G20と中国の行動がちぐはぐなのは明らかだ。

3つ目の資本規制強化となると、何をか言わんやという話である。

国際通貨基金(IMF)を軸にした世界経済は本来、自由な資本移動が大原則だ。もともとIMFは自由な資本移動を促した結果、貿易代金の支払いに窮する国が出てくれば、危機を脱出するために緊急資金を貸し出すのが役割の国際機関である。

G20が大真面目に資本規制を検討するとは、裏返せば、それほど中国が危機一歩手前に追い込まれている証拠である。まして、中国はIMFの特別引出権(SDR)通貨入りを果たしたばかりだ。

中国はSDR通貨として人民元を危機国に貸し出すどころか、自分自身が危機一歩手前の状態に陥ってしまったのだから、ほとんどお笑いと言っていい。他国に貸すどころか、自分が借りるかもしれないはめになっている。

いくらなんでもSDR通貨国が借りるとは恥ずかしいから、その前に資本規制して流出を止めようという話になっている。資本規制すれば、市場のドル買い人民元売り圧力が和らぐので、為替の安定効果がある。

だが一方、中国に投資した海外企業は人民元で得た利益をドルやユーロに転換して本国に送金しにくくなるから、投資を冷やす結果になる。企業は「これ以上、中国に投資しても利益を送金できないなら意味はない」と考える。これがまた中国経済にダメージを与える。

中国人による爆買いもやがて終わるだろう。当局にしてみれば「外貨準備が急落しているのに、中国人が日本で買い物して貴重な外貨を消費するのはとんでもない」という話になる。すでに中国人が使える外貨に制限を加える話も飛び交っている。

結局、有効な対策は何もない

以上が、G20の描いた危機への処方箋だ。総じて評価すれば、G20は自分たちの目先の損得を優先して、中国経済の崩壊については何の有効な対策も講じられなかった。

供給過剰が顕在化している中国に一段の財政出動を求めても、ゴーストタウンが広がるだけだ。為替介入の要求は金融を引き締め、経済を収縮させる。そして資本規制は外資の中国離れを加速するのだ。

原理的に言えば、どうやったところで他国が中国を救うことはできない。それは中国自身の問題である。中国人自身が人民元を売り払って中国から脱出しかかっている。キャピタルフライト(資本逃避)が始まってしまったのだ。

資本流出が続けば、中国は結局、人民元の下落を容認するか、資本規制を導入するか、あるいは猛烈な介入を続けるか、の3つしか選択肢はない。そのどれもが崩壊への道につながっている。

著名投資家のジョージ・ソロスは事態の本質を見抜いて「中国のハードランディング(強制着陸)はもう始まっている」と語っている。ソロスは人民元下落に賭けるつもりなのだろう。中国の通貨危機というドラマの幕開けが近づいている。


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