したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

国際経済学

1127とはずがたり:2017/03/18(土) 16:01:41

 この買収に関し、ドイツ出身の欧州委員会エッティンガー委員が「クーカは欧州産業の将来にとり極めて重要な企業である。仮に同社が中国企業であれば、中国政府が買収を認めるとは思わない」と発言し、買収に反対する姿勢を明らかにした。ドイツ政府関係者も技術流出に注意喚起を行い、ガブリエル副首相兼経済大臣も閣議の席上買収に懸念を表明したと報道された。しかし、民間の取引に政府が介入しないことも同時に示唆された。

 美的集団は、情報・技術流出と雇用に関する懸念を払拭するため、少なくとも2023年まで雇用を維持すること、またクーカの顧客データを親会社には開示しないことを経済省に対し確約したと報道されている。結果、美的集団はクーカ株式の80%以上の買い付けに成功し、既存持ち分と合わせ95%の株式を保有することになった。しかし、いつも買収が成功するわけでもない。

道義的に問題ある買収も
 中国企業による買収には、時として道義的な疑問を生じさせることもある。2016年5月中国の福建芯片投資基金(FGC)は、ドイツの半導体製造設備メーカ・アイクストロンを買収するため株式買い付けを行うことで合意したと発表した。買収金額は最大6億7000万ユーロ(800億円)とされた。

 この買収劇には中国企業に係る不透明な取引関係が見えるとニューヨークタイムズ紙が報じている。アイクストロンの株価は、2015年末に7ユーロ台から4ユーロ台に、年明けには3ユーロ台に急落する。この下落の理由は、中国アモイ市に本拠を置く三安光電が同社への発注を土壇場でキャンセルしたことによる業績の下方修正だった。キャンセルの理由は、要求した品質が満たされないことが分かったためと説明されている。

 FGC株式の51%は政府関係者と言われる個人が保有し、アモイ市の関係するファンドもFGCの株式を保有している。このファンドは三安光電に資金を貸し付けていた。さらに、アモイ市に本拠を置く省政府関係のファンドが両社の株式を保有し、三安光電の株式を保有する中央政府系ファンドが、関係会社を通しFGCにアイクストロン買収の資金を貸し付けていた。

 アイクストロン買収提案発表の3日後、三安光電の株主の会社が福建省泉州市に設立されたが、その住所はアイクストロン買収時にFGCが登録した住所と同じであった。ニューヨークタイムズ紙は、両者の関係だけでは違法行為があったとは言えないが、中国企業の独立性に疑義を抱かせる出来事と報じている。

 ドイツ政府はアイクストロン買収を一旦認めたが、10月になり認可を取り消し、再審査を行うと発表した。12月に米国政府財務省の対米外国投資委員会は、軍事利用技術が含まれているとして、アイクストロンが米国に保有する子会社の買収を認めないとの結論を出した。これを受けオバマ大統領(当時)が買収不許可の大統領令に署名した。この結果、FGCはアイクストロンの買収を諦めることになった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板