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国際経済学
1104
:
とはずがたり
:2017/02/14(火) 12:33:35
第二に、「米国退場」後のTPPを日本主導で切り回す、言い換えれば日本が自前の自由貿易圏を確立することです。しかし、既にオーストラリアなどから「中国のリクルート」の声が出始めていることは、残った国だけでTPPを存続させることへの悲観的な見方を象徴します。他の国からの期待が薄い以上、日本が単独でTPPを主導することは現実味が薄いといえます。
第三に、他のメンバーの要望に沿って、中国に参加を求めることです。既に日本は、中国を含め、オーストラリア、ニュージーランド、インド、韓国、ASEAN(東南アジア諸国連合)との経済連携を目指すRCEP(東アジア地域包括的経済連携)交渉に臨んできました。したがって、中国との間で貿易・投資を自由化する枠組みは生まれつつありますが、日本政府にとってTPPとRCEPは米中間でバランスのとれた立ち位置を確保する意味があります。TPPにも中国を招き入れることが、アジア太平洋地域におけるその経済的影響力をこれまでになく大きくする以上、日本政府が他のメンバー国からの提案に乗ることは想像しにくいでしょう。
つまり、どの選択肢も日本政府にとってはハードルが高いとみられますが、かといってそれに代わる代替案も見受けられません。戦後、安全保障と経済の両面で米国への依存度を深めてくるなか、そして中国や北朝鮮との対立が深まるにつれ、日本政府には米国の対外政策に付き合うことが「現実的」と捉える傾向が、従来以上に濃厚になってきたといえます。その結果、「超大国としての米国」という「現実」そのものが変容しつつあるなかで、既存の行動パターン以外のものを見出せていないといえるでしょう。
中国の逡巡
ところで、TPPをめぐる混迷は、ラブコールを集める中国にとって、必ずしも浮かれていられる状態ではなく、「痛し痒し」といえます。
近代以降の世界では、超大国(覇権国)が国際的な秩序を形成してきました。しかし、超大国には寿命があり、その衰退に合わせて国際的な秩序も変化してきました。英国が「七つの海を支配した」19世紀、植民地主義は合法的でした。英国自身が最大の植民地帝国だったことは、これを支える大きな条件でした。しかし、英国の衰退と入れ違いに超大国の座についた米国が、植民地主義を保護貿易の温床とみなしたことは、植民地主義そのものの衰退に拍車をかけたのです。つまり、超大国が入れ替わることで、世界全体のルールの変更が促されたといえるでしょう。
現代に目を転じると、トランプ政権はTPPやNAFTAなどの貿易協定だけでなく、2015年に結ばれた地球温暖化防止のために結ばれたパリ協定からも脱退しかねませんが、この協定は世界第一、第二の温室効果ガス排出国でありながら、京都議定書のもとで排出削減に取り組んでいなかった米中が結んだ取り決めを下地にしていました。つまり、既に中国は世界全体のルール作りに参画することで自らの立場を確保し始めているのですが、その中国にとって「米国の退場」は、超大国の座に就くチャンスがめぐってきたことを意味します。
実際、1月23日、中国外務省国際経済局長は、「必要とされるなら中国は世界のリーダーシップをとる」と発言。 米紙ウォールストリート・ジャーナルは、その道のりは遠いとしながらも、「中国が米国の後釜を狙っている」と論じていますが、これは超大国でなくなることに対する米国内部の(主にエスタブリッシュメントの間の)警戒を象徴します。
ただし、超大国の座につくには、様々なコストがかかりますが、中国がその覚悟を固めているかは不明確です。
中国の場合、その爆発的な投資と貿易によって相手国の経済を活性化させる力を持ちます。ただし、世界レベルでみたとき、大規模な資源輸出国を除くと、その貿易のほとんどは中国の圧倒的な出超になりがちで、ここが米国との大きな違いです。つまり、中国は自由貿易のルールに基づいて輸出で稼ぐ一方、輸入はそれに見合っていないのです。もし、中国が本当に自由貿易の旗手に名乗りをあげ、米国から超大国の座を引き継ぐのであれば、自らの市場をもっと開放しなければならず、そうしなければ他国から「米国に代わるリーダー」として認知を得ることは困難です。しかし、中国企業に与える打撃を考えると、それは決して安くないコストといえます。
また、中国は主に開発途上国の間で「人権や環境などの問題でやかましいことを言う欧米諸国に代わる存在」として支持を広げてきました。いわば、「面倒な取締役」がいるからこそ、「物分りのいい中間管理職」を演じることで人気を得たともいえます。しかし、二番手が一番手になれば、自らがルール作成で大きな力を振るう以上、これまでのような支持の集め方は困難になります。また、曲がりなりにも「自由」や「民主主義」を普及させてきた米国と異なり、中国には市民レベルで普及させる価値観はほとんどありません。
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