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国際経済学

1085とはずがたり:2017/01/31(火) 13:09:11
>>1084-1085
 中国がアフリカで頻繁に債権放棄と追加融資を行ったせいでモラルハザードを招き、多くの国が中国のカネに群がった。だが外貨準備高3兆ドルを誇る中国政府といえども、いつまでも不良債権を帳消しにするわけにはいかない。

 汚職の問題ものしかかる。習は国内の腐敗撲滅を進めているが、一帯一路をきっかけに中国企業が他の企業や現地の受け入れ先とグルになって不正に関わる危険が高まっている。

 中国の国有企業がエネルギーやインフラ事業を行っている一部の地域では既に、地元との不和が生じている。手抜き工事や安全基準の無視、中古や低品質の資材・機器の使用、水力発電用のダム建設や石炭火力発電所などによる環境破壊で非難されている企業もある。

 ラオスとベトナムとカンボジアでは、メコン川の水力発電事業が環境破壊や干ばつの原因になると不満が漏れる。インドネシアでは石炭火力発電所の予算超過や高速鉄道事業の失敗が、ミャンマー(ビルマ)では森林の違法伐採が問題視されている。

 パキスタンでは中国の建設作業員が、分離独立を目指す武装集団に襲撃された。同国では地域勢力の反乱が続いており、中国・パキスタン経済回廊の建設に遅れが出ている。中国共産党対外連絡部の鄭暁松(チョン・シアオソン)副部長は昨年、パキスタンの政党に「一致団結して経済回廊の成功を目指そう」と、異例の呼び掛けを行った。

 中国はパキスタンで安全強化にも努めている。中国政府は運営権を獲得したグワダル港の安全確保のために艦艇を派遣する予定であり、中国船舶工業貿易公司は巡視船2隻をパキスタン海上保安庁に供与した。

 しかし、ありきたりのやり方ではプロジェクトを守ることはできず、中国は今後も近隣諸国の国内問題に巻き込まれる恐れがある。現地で説明責任を果たさなければ、環境悪化や強制退去が地元住民の怒りの火に油を注ぐかもしれない。

国有企業への押し付け

 一帯一路は中国国内でも大きな経済的・政治的リスクになっている。景気が鈍化し、保護主義への恐怖が高まるなかで、中国政府は一帯一路でリスクの高い途上国に投資する一方、民間資金は安全資産に逃避するという対極的な動きを見せている。

 政府が一帯一路を国有企業に押し付ける一方で、民間投資は安全性の高い国外資産(特にアメリカの不動産)に向かっている。その対抗策として政府は資本規制を強化しているが、抜け道はいくらでもある。…

 今から10年以上前、アメリカは中国に「責任あるステークホルダー(利害関係者)」になるよう求めた。だが中国は自己主張の強い新たな外交を目指すようになった。一帯一路はその主要部分を占めており、中国中心のグローバリゼーションが新たな段階に入ろうとしていることを告げている。

 この構想が成功すれば中国はユーラシアで唯一の覇権国になるだろう。だが大きな経済的・政治的リスクをはらんでもいる。問題はこの構想が人的・物的資源の調達や政治、安全保障、金融的な課題を克服できるかどうか、にある。

 失敗すれば、後には巨額の損失と、「無用の長物」のせいでダメージを負った不機嫌な近隣諸国が残るだけだ。

[2017.1.24号掲載]
ジョシュア・アイゼンマン(テキサス大学オースティン校准教授)、デビン・スチュワート(カーネギー国際問題倫理評議会プログラムディレクター)


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