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近世日本史スレ

209名無しさん:2016/11/06(日) 18:32:26
>>208

■マッサージや社交場、徹底したサービス業だった江戸の湯屋

落語の若旦那が座った番台だが、実は主人やベテランの番頭しか務められなかった。風呂で使うさまざまなグッズを販売したりレンタルしたりするだけでなく、客同士の喧嘩の仲裁、板の間稼ぎの見張りなどいろいろなことをしなければならないからだ。板の間稼ぎとは、粗末な衣服で風呂に入って、金目になりそうな高価な着物で出ていくという盗人だ。

洗い場では別料金で、三助(さんすけ)に背中を流したり揉んだりするサービスを求めることができる。湯屋は立派なサービス業だったのだ。

さらに、風呂から上がった男客は、有料となるが、脱衣場から二階に上がる梯子(はしご)で二階の座敷に上がって休憩することができた。茶を飲んだり菓子を食べたりしながら世間話をしたり、将棋や囲碁などを楽しんだりした。

湯屋が町に1つはあったという江戸時代なので、湯屋が出てくる落語や歌舞伎は多い。落語「不動坊」に登場する主人公は、湯屋でひと悶着を起こす。歌舞伎の「暗闇の丑松」は湯屋が惨劇の場になる。落語「金明竹」では、上方の客が早口で「おいえはんだっか?(お家さんですか?)」というと、江戸のおかみさんが「お湯屋はこの先…」と答えるといった具合。湯屋が人々の暮らしのなかに溶け込んでいたことが、よく分かる。

こうして、さまざまな職業や階層の江戸の人たちが集まって、おしゃべりをするなどして憂さを晴らせる湯屋は、今のスーパー銭湯と同じように、江戸っ子のための大切な娯楽の場でもあったのだ。

●参考資料
・「ヴィジュアル百科 江戸事情 第一巻生活編」NHKデータ情報部編/雄山閣出版
・「落語と江戸風俗」中沢正人・つだかつみ著/教育出版
・「大江戸暮らし」大江戸探検隊編著/PHP研究所
・「江戸っ子の二十四時間」山本博文/青春出版社
・「落語ハンドブック改訂版」山本進編/三省堂
・「江戸散策」サイト第77回/クリナップ
・「歌舞伎いろは」和の愉しみ くらしの今と昔/歌舞伎美人

山本久美子


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