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石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=

1749とはずがたり:2014/07/31(木) 16:52:20

 だが、カネというものは受け取ってしまえばこちらのものである。ウクライナのアルセニ・ヤツェニュク暫定首相は、ロシアが第1四半期の価格・268.5ドルを一気に485ドルへ引き上げたことを認めず、価格を268.5ドルへ戻さない限り、未払い分も含めて支払いは行わないと主張し始める。そして、この価格と Take or pay 条項が不当であるとして、契約に従ったストックホルム仲裁裁判所への提訴に動きだす。

 これに対してロシアは、5月中に未払いの一部でも支払われないならば、6月からウクライナに向けたガスの供給を停止する、とウクライナにも欧州各国にも正式に通知する。

 ヤツェニュク暫定首相の主張の根拠は、契約に「契約当事者のどちらかが、エネルギー市場の状況の変化でこの契約が決める販売価格が市場水準を反映していないと判断した場合には、価格見直しの交渉を申し出ることができる」と規定され、これに基づいてナフトガスが過去に何度も見直しを要求したのにもかかわらず、ガスプロムがこれに応じなかった、という点にある。

 契約の条文には、不払いという買い手による対抗措置を認めているくだりはない。従って、法的にウクライナ側の主張が認められる可能性は、ほかの場合なら薄いと考えるのが普通だろう。だが、ヤツェニュク暫定首相を強気にさせている背景には、暫定政権への欧米の後押しとともに、欧州のガス市場で起こっている取引自由化への動きがある。

 その動きとは、従来のガスの長期取引契約が依存してきた、石油(原油、あるいは石油製品)価格へのガス価格連動方式や Take or pay 条項の廃止であり、短期取引契約と取引所(ハブ)取引価格連動方式の推進である。

 実際に、欧州の仲裁裁判では、既契約に書かれた石油連動価格の水準や Take or pay 条項が部分的にでも否定されるという、ガスの売り手にとっては不利な審判例が最近出されている。

 仲裁裁判であるために、その結審での法的根拠は公開されないが、2009年以降に欧州市場にカタールなどからのLNGが一斉に流れ込み、取引所取引での価格を押し下げ、そのレベルが結果として従来の石油連動価格依存の長期契約価格をかなり下回っていたことも、仲裁裁判所側の判断に大きく影響しているのだろう。

 同一商品が異なった価格で流通し、市場を通じてその差が埋まらないならば、高い方が不当、との見方をこうむりやすい。ましてや、その高値を無理矢理買わせるような契約なら、それは公正や衡平の理念に背く、という見方も出てくる。

これらの視点が、実際の市場の状況に影響を受けて生まれてくるものならば、今後取引所取引の価格が恒常的に長期価格を上回るような時代がもし来たなら、どうなるのだろうか。

Take or pay 条項をはねつけるしかないウクライナ

 その疑問を残しつつ、法的安定性を損なうリスクを冒しながらも、仲裁裁判で Take or pay 条項がもはや時代に合わないとして否定される可能性は、それなりに高いのかもしれない。

 さらに、ガスプロムが要求する100億ドルを超える支払いを認めてしまったら、すでにウクライナ政府に貸し込んでいる同じロシアや他の債権者の融資条件(ウクライナ政府の対外負債を一定の水準以下に抑えること)に抵触し、その前提条件が満たされなくなったことを理由に一気に資金引き揚げが起こるかもしれない。そうなるとウクライナ側としては、一度は合意した契約条件ではあっても、Take or pay 条項はもはや不当、で押し捲(まく)っていくしかなくなる。


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