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石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=

1748とはずがたり:2014/07/31(木) 16:51:59

 議論の出発点になる、ガスプロムとナフトガスとの現行ガス売買および通過輸送契約(2009年1月締結)を見ると、売買のくだりは以下のように書かれている(非公開の扱いなのだが、その全文が締結直後に早々とウクライナの地元紙にすっぱ抜かれた)。

●450ドル/1000m³を2010年からの10年間を通じ、価格計算上での基礎(base price)とする。
●実際の販売価格は、この450ドルに軽油と重油の国際市場での価格変動に従う一定の係数を乗じて、3カ月ごとに決める。
●2010年より毎年の供給量は520億m³、買い手の最低引き取り保証はこの80%(すなわち、416億m³)。これが履行されない場合、買い手はその引き取り不履行部分のガス代金を全額支払う(Take or pay 条項)。
●支払いは供給当該月の15日までに(後に供給翌月の7日までに改訂)行う。この遅延に対する罰金は支払金額の0.03%/日。
●買い手(ナフトガス)が契約を履行しなかった場合、売り手(ガスプロム)は一方的に供給のすべてまたは一部を停止できる。

 価格の基礎となる450ドルは、2008年1〜9月の原油価格(この間で欧州ブレントの平均価格は$111.4/バレル)から割り出したものだった。2008年のナフトガスの買い価格である179.5ドルから見ればかなりの値上がりにはなるが、同年で欧州大陸部でのガスの輸入価格平均は470ドルを上回る水準であったから、450ドルは当時としては決して法外な数値ではなかった。

 そして、石油製品連動という1つの客観指標に従う価格算定式が、ロシアとウクライナのガス売買で初めて適用された点に大きな意味がある。

 その後の2010年4月に、いわゆる「ハリコフ合意」が両国間で成立する。これは、クリミアの黒海艦隊駐留期限を2017年から25年延長することへの引き換えに、上記の価格算定式で割り出される価格に対してガスプロムが、333ドル以上なら100ドルを差し引き、333ドル以下なら30%を割り引く、というものだった。

ウクライナのガス代金未払い額は35億ドルにも

 実際には2013年12月まで、算定式に基づく価格から100ドルを差し引いた数値がガスプロムの請求書に記載されてきた。そして、その12月に、ロシアは当時のヤヌーコヴィッチ政権への援助として2014年第1四半期の価格を268.5ドルへ引き下げた(12月時点での価格・406ドル(算定式による元の価格は506ドル)から見れば約3分の1の値引きになるが、なぜこの水準が選ばれたのかの根拠は不明)。

 しかし、2014年2月に「マイダン革命」が起こり、援助の対象となるヤヌーコヴィッチ政権が消えてしまったために、ガスプロムは上記の2013年12月の値引きを2014年4月からは適用せず、として価格を385.5ドル(その時点での算定式による価格マイナス100ドル)へ引き上げ(ロシアによれば元に戻しただけ)、4月2日にプーチン大統領がハリコフ合意書破棄の批准書に署名すると、翌3日には2010年からの100ドルの値引きも自動的に廃止になったとして、価格を485.5ドルとした。

 こうしてガスの単価が変わる傍らで、すでに2013年9月からウクライナの代金支払いが一部滞り始め、2014年の4月分までの未払い累積は34.92億ドルへと膨らんでしまった。それだけではない。ガスプロムの計算によれば、2013年だけでも契約に規定される Take or pay 条項に従ってウクライナが支払わねばならない(そして支払われていない)罰金総額は約114億ドル、それ以前からの分も加えれば185億ドルにも達する。

 資金に事欠くウクライナに対して、IMF理事会は4月30日に2年間で170億ドルのスタンドバイ融資を承認し、その一部の35億ドルがすでに供与された。そしてIMFはその中から3月までのガス代金未払い分を支払って、この問題に片をつけろ(つまり4月以降の未払いはあり得ない、Take or pay 問題は当事者間で何とか解決する、との前提)と指示した。


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