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政治思想総合スレ

750とはずがたり:2019/08/14(水) 18:27:24
>>749
彼らが究極的に求めている世界観は、既存の秩序からの「解放」だ。

《科学技術が発展した先には、AIが人間の知能を超える技術的特異点、シンギュラリティを迎えるという考えがあります。彼らが期待している世界というのは、そのさらに先の世界。

その次元にたどり着いた時に初めて人類は、既存の価値観、資本主義やテクノロジーといったものからも「解放」されると、信じているんですね。逆に言えば、それを信じなければいけないほど、閉塞感があるようなんです。…

科学的なエビデンスをベースにしたダークな思想、インテレクチュアル・ダーク・ウェブ。

テクノロジーへの信奉からアンチ・リベラルに走る「暗黒啓蒙」の他に、勢いをますのが冒頭でも紹介した「インレクチュアル・ダーク・ウェブ」だ。

藤田さんは「『啓蒙思想』を感情的な運動と呼ぶとすると、科学的な装いの運動が『インテレクチュアル・ダーク・ウェブ』」と語る。

この場合の「ウェブ」とは、インターネットという意味ではなくて、ダーク思想な知識人たちの繋がりというようなニュアンスだという。

《彼らは、フェミニズムやリベラリズムに対して、「世界はあなたたちが考えているような“お花畑”な世界ではなくて、本当はもっと暗くて残酷なんだぞ」ということを、科学的なエビデンスに基づいて主張して攻撃する人たちです。リベラルという虚構に洗脳されてしまった人たちを目覚めさせてあげようという感じです。

例えば最近では、人間には自由意志があるのか? という議題があります。リベラルにとって自由意志というのはとても重要で、自由意志に基づいて個人は生きていくのだと考えています。近代以降の社会の前提ですよね。それを彼らは時に、脳神経科学や進化論、行動経済学などを引き合いに出して、“科学的に”否定しようとしてきます。科学技術の発展に伴って生じた新しい「人間観」によって、これまでの価値観が揺さぶられている状況だとも言えます》

一見、それが全てかのように思えてしまう科学的データやエビデンス。

しかし藤田さんは、「物事の全てを科学的アプローチだけで考えるのは、危険だと思う」と警鐘を鳴らす。

《そもそも自由も人権も科学的に実在するのではなく、近代以降の人間が『ある』と取り決めてきたもの。その「取り決め」を積み重ねてきた結果として、現在の社会がある。だから、単純に科学やエビデンスだけで物事を捉えてしまうと、色々なものを失ってしまうと思います。

例えば、僕たちは誰かが亡くなった時に「死後の世界で見守ってくれる」などと考えますよね。これってファクトでもエビデンスでも何でもない。でも、この、「ファクトでもエビデンスでもないもの」を全て否定してしまうと、人間はたぶん耐えられないと思います。人間社会の文化はそういうもので成り立っている部分もある、と個人的には感じています。愛だってそうでしょう。人類の存続に必要なものは、ファクトやエビデンスだけではないのです》

自由や人権を「人間の進化を邪魔する存在」として攻撃するダークな思想の高まり。

一方で、効率やスピードを重視するのではなく、のんびりと人生を楽しむ「スローライフ」を良しとする、ムーブメントもある。

究極的には、世界がどんな方向に向かうのか、どの思想が正しく確からしいのかは予言ができない。

しかし予測不可能だからこそ、藤田さんの「自由や人権、公平などは、人間が取り決めてきたもの」という指摘にはハッとさせられる。

政治哲学者のジョン・ロールズは『正義論』の中で「無知のヴェール」という概念を使って、正義にかなった社会とは何か? を定義した。

それは、自分がこの社会で何者なのかーー裕福か貧乏か、白人か黒人か、男か女かーーを一切知らない「無知のヴェール」をかぶった状況で、社会のルールに合意しなければならないとしたら、やはり選び取るのは、基本的人権と自由が約束された社会ではないか、という論法だ。

Twitterでは日々「分断」が可視化され、選挙の投票率も低迷したまま。アメリカではトランプ大統領が再選を目指しはじめるような2019年。

私たちは今一度、「無知のヴェール」について、思いをはせてもいいのではないだろうか。

【文:湯浅裕子 @hirokoyuasa/ 編集:南 麻理江 @scmariesc】


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